あらすじ
Why? Why? Why?「思考の迷路」を脱出せよ!『月の扉』『扉は閉ざされたまま』の著者による新たな試みとたくらみ。女の子たちと家でパーティー。翌朝、僕のサンダルが消え、女性物の靴が一足。誰かが、酔っ払って間違えたようだ。でも誰も申し出てこない。なぜ?(「ガラスの靴」) 素性をなかなか明かしてくれない僕の彼女。なぜ?(「泡となって消える前に」) フイルムカメラからデジタルカメラに替えた私。しかし妻からカメラのフイルムが贈られて……。なぜ?(「賢者の贈り物」)など。あなたを思考の迷路へといざなう10の物語。
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Posted by ブクログ
オリジナルは2008年に発行された作品の文庫化。
石持作品はただでさえミステリファンの間でも
やや(?)異端扱いされてる感があるのにw、その中でも
この作品はまた...なんというか変わった作品ですね。
一見すると日常の謎を思考をフル回転させて解く
ミステリ作品集として読めるんですが、それにしては
ややこしく、...どっちかというと...屁理屈とヒネくれた
思考の積み重ねによって、実は普通の出来事をわざと
謎に仕立てあげてるような気すらします。
それがまた、面白いんだから流石です。
しかも10話の短編から成るんですが、その全てが
なんだか聞いた事のある童話、寓話、神話、昔話を
モチーフにしてあるという演出がニクい。基本的には
全作とも好きですが、「ヤギの郵便屋さん」(黒ヤギさんが
白ヤギさんの手紙を読まずに食べちゃったヤツね)を
モチーフにした「可食性手紙」が秀逸。
アホらしいエピソードなのに、ほのぼのとして、更に
思考の展開が面白く、かつ、最後にはキュンとするという
なんだか可愛い作品で好みです。一風変わった作品が
好みなら...アリな作品では?
「羽住典子」さんの解説も非常に分かり易く、この作品の
キーパーソン「磯風」さんという女性の謎も自分は、
この解説を読んで初めて気が付きました。