あらすじ
亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。
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Posted by ブクログ
10年ぶりくらいの再読。
大まかなストーリーは覚えていた。
相当重い話であり、特に中高生の頃に読むと強い印象を残すんだろうと想像する。日々の仕事に一所懸命なおじさんの私にも衝撃を与えるのだから。
周りで起こることを受け流すことが得意な主人公のリョウは何事も冷静に捉える現代人のよう。ただし本書ではそうやって仕方ないと諦め、何もしてこなかったことが全て悪い結果になったことが突きつけられる。読者によっては少し前向きに積極的に生きてみよう、と生き方を見直すかもしれません。
最後の母親からのメールでリョウがどうしたかが気になる。
Posted by ブクログ
タイトル回収が秀逸。
米澤穂信さん作品で一番好き。
「想像力が足りない」「人生の岐路」という言葉はものすごく心に刺さったし生き方が変わった。
自分がいない世界や存在しない兄弟を想像した経験は少なからず皆あるのでは。
その答えが残酷すぎる。
主人公だって最初から無気力だったわけではないがあの夜を起点に打ちのめされたのだと思う。
最善の言動など分かるわけがないし、中学生に負わせすぎといった話だが。
あんな状態で元の世界に戻さないでやって!
恨むのも筋違いだろ… 悲しい。
個人的には主人公は元の世界で立ち直れていないと思う。
生涯ボトルネックのない世界と絶えず比較しながら進まざるを得ないのだから。
Posted by ブクログ
ボトルネックは、私たちの想像力を試している。
この結末を読んだあとで、
私たちが「イチョウを思い出して」の意味を想像することで、
リョウが辿り着けなかった真実に辿り着いた時、
ようやくこの作品が完成します。
ノゾミの言った「死んじゃえ」とは、
フミカに対しての気持ちではないだろうか?
ラストシーン、
ノゾミはリョウを誘っていたのではなく、
助けを求めていたのではないだろうか。
リョウが諦めずに想像力を働かせていれば、
自分の存在意義を見つけることはできたのでは無いだろうか?
この物語は、絶望のラストを突きつけることで、
読者はそれでも希望を探せるか?という挑戦だと考えました。
諦めてしまえば、リョウと同じです。
Posted by ブクログ
曇り空の様な締めくくりであるのに、何故かモヤモヤを感じさせない不思議な収まりの良さを感じる。それは恐らく、広げられた風呂敷が主人公の絶望一点に向かって綺麗に折り畳まれていくような、何とも言えぬ満足感があったから。
Posted by ブクログ
メンタルしんどくなる本と聞いていたけど
なるほど、、、
■パラレルワールド
よくあるIFの世界って悪い方向に転がることが多いから、何とかして元に戻そうと頑張るのはよく見るけど
パラレルワールドの方が全て良い方向に転がる
現実世界が減点方式で採点されていく
自分がこの世の中に不要であると言われているような感覚。誰にも見向きもされず影響も与えないならまだマシだが、自分の何もかも考えず受け入れる性格のせいで世の中がこんなにも変わってしまう
あのタイミングで元の世界に戻らされた上、ラストにあの仕打ち
踏み出すには十分だよなぁ…
色んな考察があるんだろうが…
普段の些細な選択も気をつけなければと思ってしまう
バタフライエフェクトと呼ぶには身近に影響が大きすぎる…
Posted by ブクログ
自分が生まれなかった世界で、自分の代わりにいる存在が、自分には成し得なかったことをことごとくしていたら、どんな気持ちになるだろうか。IFの世界ではあるが、死んだ人間が生きていたり、潰れたはずの店がまだあったり、と、自分ではない存在がいれば結果が変わったのかと思うと、自分とは何なのかと思ってしまう。生きていたくないと思ってしまうのも無理はない。しかしながら、主人公嵯峨野リョウは自分の世界に戻り、まだ生きていくことを決めたようだ。それは、自分にしか成し遂げられない使命を感じたのだろうか?ハッピーエンドではない気もするが、バッドなエンドではないと言える。
Posted by ブクログ
こーーーれは…。文章は読みやすくてスラスラ読んだんだけど、これはたしかに元気な時にしか読めない読後感。凄いズシンときている…。1週間くらい考え込みそう。
自分が生まれていなかった世界線。自分の世界では水子として亡くなっていた陽気でお節介で頭のきれる『姉』が、その世界では意識的にも無意識的にも、自分が生きていた世界線をいい方向にしている。自分の世界で亡くなっていた恋人も兄も生きていて、両親も仲が良く、周りの店すら活気があり…。生まれてこなかった方が良かったのは自分なんじゃないか?元の世界に戻ったとて、今後どう生きていけばいいのか?それでも生きていればまだ世界を変えられる?
いやー私なら耐えられない。生きられない。って思ってるところにラストの一文。しんどいよ…。
Posted by ブクログ
若干ラノベ感があるなと思ったら、氷菓の作者だった。(氷菓を読んだことがあるわけではないが、アニメを見たことがあるので、氷菓はラノベっぽいのかなと勝手に思っていて、氷菓には手を出さずにいた。)
特にサキの口調や振る舞いにラノベっぽさを感じるのだが、自分は小説にはリアリティを求める節があるせいか、そのせいで物語に没入出来ない感じがあった。
タイムリープやパラレルワールドといった設定は好きなのだが、本作ではその設定を十分に堪能出来なかった。
タイムリープやパラレルワールドってミステリーとの掛け合わせでさらに面白くなるものと思っているのだが、ミステリー要素が期待していたほどじゃなかったからなのかもしれない。
本作はあまりミステリーとして読むものではなかったのかも知れない。途中で出てくる黒幕っぽいなと思った奴も結局何だったのかよく分からずじまいだった。
結論は自分の読解力不足で解説を読まなければ理解が追いつかなかった。
Posted by ブクログ
文章は読みやすく、サキとの会話はテンポが良くて面白かった。ただ、最初から最後まで主人公の性格が暗く、特に最後のシーンは辛かった。なんと苦しい気分になるラスト。ただ文章の終わり方としては好みだった。
Posted by ブクログ
メンタルがある程度安定してないと、耐えられない作品ですね。
これほどまでに、主人公が何ひとつ救われない、ただただ自分の不甲斐なさを突きつけられる話だったとは。
姉のサキは、ことあるごとにリョウへ「想像力!」と言いますが、その想像力だって、行き過ぎれば出しゃばりになりかねないし、難しいです。
だからこそ、今の時代は、リョウみたいなひたすら受け身のことなかれ主義な人は沢山いると思います。
思ったとおりの未来にならなかったときが怖いから、あえて何もしない、というのは正当防衛でもあります。
ここまでリョウを叩きのめす必要がそんなにあったのかなぁ?と思いました。
リョウの「もう生きたくない」の一言には、酷く共感しました。
というのも、休職期間に入る直前の私も、それに近い気持ちでしたから。
(なんで、わたしばかり、こんなみじめな気持ちにならなきゃいけないの、と思う出来事がありました)
人って、心の拠り所がなくなってしまったときに自ら命をたってしまうものだと思います。
あのラストは、やっぱりそういうことなんでしょうか?
最初は、核心に入るようで入らない語りすぎない論調に、「よくわからないなぁ」と言うか、肩透かしを食らったような印象でしたが、こうして考察してみると、中々深い話でしたね。
少なくともリョウに自己投影できるくらい、自分は物語をきちんと咀嚼していたのですね。
Posted by ブクログ
青春ものSF・FTミステリー。
事故死した恋人を弔うため東尋坊に訪れたところ、東尋坊から落下、気が付くと金沢の河川公園、家に戻ると別の世界線で生まれる前に死亡した姉と事故死した兄、さらには恋人も生きている。
最後の2章で恋人の事故死の真相が暴かれ、世界線の分岐の理由がことごとく姉か自分かによるものであり、自分こそがボトルネックであったことを感得してしまう。やるせない思いが募り、ラストシーンも暗い未来しか想像できない。
Posted by ブクログ
主人公が自分は存在せず自分の世界では生まれなかった姉が存在する別の世界で、自分の世界とは違い全てが好転していてマイナス要素ばかりが次々と突き付けられる過程、自分の存在が間違いだと考え、これまで受け入れられたことももう受け入れられないと絶望し苦悩する姿が悲しく苦しいです。
最後の生死すら誰かに決めてもらいたいというのが、自分の選択よりも他人の選択での失敗の方が受け入れやすいんだよなという共感と、こんな選択まで受け入れ体質は変えられないんだなと思いました。
想像していたミステリとは違いましたが楽しめました。