あらすじ
「異色の小説家」が描く、人生の深さと人間のおもしろさ!
別々に成り立っている9つのストーリーが
人と人の出会いによって、ひとつの物語へとつながっていく――。
中高生からも人気の高い学習塾「聡明舎」での授業や、日本各地で連続講座「親学塾」を開催するなど、
執筆活動だけにとどまらず活躍の幅を広げている喜多川泰さん。
待望の最新作は、短編小説のような9つのストーリーが人の「縁」によってつながっていく不思議な長編小説です。
少年野球、サービスマン、卒業式、バレンタイン、超能力、就活、日本、出稼ぎ、恋愛……。
異なるテーマの9つのストーリーに登場するのは、
生きていれば誰もが直面するような悩みや悲しみ、迷いや不安といった、さまざまな思いを抱いている主人公たち。
彼らは、人との出会いを通して生きるヒントを学び、新たな自分へと成長を遂げていきます。
各ストーリーに登場する人物が少しずつ重なり合いながら循環していく物語は、
まさに私たちがいま生きているこの世界そのもの。生きる力が湧いてくる作品です!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
世界も人もどこかで繋がっている。
人生の主役は自分だが、誰かの脇役になった時、
わたしは誰かの糧になれているだろうか。
一瞬の出会いでも誰かの心に残るような生き方ができる人でありたい。
物語も繋がっている。
ユニフォーム
言葉を選ぶ。褒める視点で。褒める言葉はパワーを与えられる。
この物語ですてきな有馬監督は次の物語で新人バイト。
ルームサービス
働くとは。『どうせやるなら』
自分にできることで、誰かを幸せにする行為が、働くということ。自分にできることを増やしたり、深めたりすることで、誰かを幸せにする深みが変わってくる。
この物語の素敵な紳士、安達はチェックアウトした時には、来た時と同じように部屋を綺麗にして出る。来た時よりも美しく。
安達さんは次の物語の父親。
卒業アルバム
息子の卒業式。初めて息子に関わって参加。
アルバムには若い担任教員江川真由先生からのメッセージが。
来た時よりも美しく。父親は感銘を受け生き方を変えようと思えた。
人は、素晴らしい出会いによって、何度でも生まれ変わることができる。
次の物語で江川先生が主役。
ホワイトバレンタイン
雪のホワイトバレンタインデー。彼と別れる。
バスで涙してしまう。車内で出会う女性と年配の男性から心を頂く。また年配の男性からは花束と言葉を。
苦悩に出会うたびに、これがあったから今の幸せがあるって断言できる未来にしなければって思った。泣いてもいいから笑っていなされ。
この真由さんがバスの運転手にとった行動がかっこ良すぎる。
先程の年配の男性は次の物語の脇役。
超能力彼氏
同じものを見ていても、人が見えない世界をたくさん見える人間になりたい。本を読んでいる人はかっこいい。と敦史は言う。
予定どおりに行かないことってたくさんあると思う。それを楽しむのが人生だと思っている。何が起こるかわからない人生を、一緒に楽しまない?
このプロポーズをしたとき、隣にいたのが年配の男性。人生一度くらいは女房に花を買ってあげないとと思ったと。
敦史は次の物語の就活生。
ラッキーボーイ
就活の話。ラッキーボーイだと思っていた宮本は、そうなるべき行動を起こせる人だった。
大学を好きになろうと思ったから掃除をした。自分が心から大切にしているものは、大好きになるんだと教わったという。
考えられない偶然の出会いは、今この瞬間だって起きている。その時に相手にあげられる何かを持っている人でありたいといつも思っていて、いろんな本を読んでいる。
敦史も掃除をはじめることにした。
宮本は次の物語のアルバイト。
夢の国
適当な理由をつけてアルバイトを辞めようとしている宮本。中国からの留学生張にも挨拶をする。
その時に日本の素晴らしさと自分の居場所を大切にする事を教わる。
店長の中井からは、見えない心をみるには、その人の行動を見ればわかると教わる。
逃げない生き方として、まずは大学のゴミ拾いを実行にうつすことになる。
留学生の張さんが次の物語の主人公。
「どうぞ」
張さんは祖父の代から日本の文化や素晴らしさに感銘を受けていた。日本に来てみて、その常識、清潔感、色々な所で素晴らしさを感じた。
電車に乗ると、隣の高校生が老人に席を譲っていた。覚えたての初めて使った言葉「どうぞ」を言った時、張さんは日本人の心だったと思う。
隣の席の高校生は次の物語では主人公。
恋の力
安田は隣の席の娘が好きだ。話したい、付き合いたい。欲は深くなる。付き合えた時、テンションが上がっていて、電車で目の前にいる老女に席を譲った。近所の素敵な喫茶店は、友達の母親の店だった。
この本は初めましてのはずが、この最後の喫茶店の物語を知っている気がした。不思議。
この喫茶店の友達の母は黒木さん。ユニフォームに、その名前が出てくる。何度もループ読み出来そうで、パラパラと読み返した。
Posted by ブクログ
現在、2周目。
1周目では気づかなかったつながりが見えてきます。どの話も素晴らしかったけど、留学生が言った言葉「好きだから大切にするのではなく、大切にするから、好きになる」
かなり心に響きました。
誰もが物語の主役であり、脇役である。
小さな出来事が他の人の気持ちを大きく変えるキッカケになることも多々ある。
1人では生きていないということを改めて感じる本でした。