あらすじ
初めてだった。男から、そんな目で見つめられたのは――。家族を置いて家を出た母が死んだ。葬式で母の恋人と出会った「私」は、男の視線につき動かされ、彼の家へ通い始める。男が作ったベーコンを食べたとき、強い衝動に襲われ……表題作ほか、人の心の奥にひそむ濃密な愛と官能を、食べることに絡めて描いた短編集。単行本未収録の「トナカイサラミ」を含む、胸にせまる10の物語。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
井上荒野先生の著作が読みたくて読んだ小説。食べ物の名前がついた短編小説10作が掲載されていた。「アイリッシュ・シチュー」と「「大人のカツサンド」、「目玉焼き、トーストにのっけて」が怖い話だった。「クリスマスのミートパイ」の主人公に1番共感した。「父の水餃子」は悲しい話だった。「煮こごり」が1番面白かった。難しい言葉は使われていなかったが、登場人物の心情の解釈が難しい小説だった。井上先生の小説を次に読むなら、「切羽へ」と「あちらにいる鬼」が読みたい。
Posted by ブクログ
初めての作家さんです。
特にひっかかりもなく、するする心に入ってきて
またするすると出ていく。
そんな軽めの文章を書く方だなと最初は思ったけれど、
後からじわじわくる。
なかなか味のある短編集でした。
それぞれの話に登場する料理が印象的。
「クリスマスのミートパイ」
男の人ってこんな生き物だろうな。
女のほうがいつだって現実的だ。
奥さんっていうのは夫の恋人になってみたり
お母さんになってみたり、忙しい。
「アイリッシュ・シチュー」
何かふとしたことをきっかけに、
喩えようのない不安に襲われる。
いつもと変わらないはずの日常に感じる違和感。
そんな経験一度はあると思う。
仕事中の夫に電話をかけてみるが理解してもらえず、
不安な気持ちはますます募るばかり。
そんなとき、営業中の会社員の青年がたまたま
家の前に…。
この奥さんの気持ち、わからないでもない。
何か得体のしれない不安に押しつぶされそうなときは
無条件で支えてもらいたいものなんじゃないかな。
「大人のカツサンド」
こどもは鋭い。
大人が思っている以上に。
わかっててもわからないふりくらい、
やってのける。
「ベーコン」
表題作。いちばん好き。
沖さんが、亡くなった母の恋人という
特殊な存在だったからか。
それとも、単に母の葬式で初めて会ったときから
何らかの好意を抱いていたのか。
きっかけはともかく、主人公は沖さんを
男の人として意識しているのだろう。
そうでなければ、婚約者がいるのに何度も会いに行ったり、
ましてや自分以外の人に知られたくないなんて
一瞬だったとしても考えないと思う。
濃い肉の味、ね。
どうにでも受け取れる表現がいい。
Posted by ブクログ
短編集です。
どのお話も、結末が納得できないというか、理解できないまま終わっていくような印象でしたが、
解説を読むことでそれがなんでなんかがわかりました!
主人公がみんな嘘をついてるというか、「ふりをしている」ってことがわかったおかげで、結構納得できた。
こうゆう風に書いとるけど、本音はこうやったんや!みたいな、読み終わってからの発見!みたいな。
とにかくこの小説に出てくる子供がほんとに大人だなあと思った
。子供らしさを携えつつ、考えてることはいっちょまえな感じ!子供ってすごいね
そんで最終的になにが言いたいかっていうと、
ベーコン食いたい