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Posted by ブクログ
松本美須々丘高校の放送部員たちが、部活を通して松本サリン事件を追っていく。
その顛末を放送部の顧問である著者が記した本。
地元松本で起きたサリン事件について、マスコミの報じ方を検証し、実際にそのマスコミに対して取材をしている。
その中で、メディアの態度が見えてくる。
メディアという送り手と聴取者という受け手というのは、対立するものではない。一方向ではなく、双方向に考えることが大切だ。
当時はまたメディアリテラシーという概念が浸透しておらず、最終的にはそれに繫がる結論を導き出す。
高校時代に、このような活動が出来た彼らは非常に恵まれていると思う。
考える力を養うのに、最適の活動だろう。
試行錯誤をしながらも、納得のいく結論を導き出そうとする姿と、出した結論の内容は素晴らしいと思う。
メディア関係者だけでなく、一般の受け手にも是非読んでほしい一冊だ。
Posted by ブクログ
新宿ジュンク堂さよならフェアの「書店員がほんとうに売りたかったコーナー」で発見しました。ほんとにいい本だった!
高校の放送部でこれだけ自由かつ積極的な活動がやれる学校というのが、まず稀有だと思うし、マスメディアを高校生が取材するという発想もすごい。でも何よりも感心したのは、ひとつ作って賞をとって、それで終わりにしてしまわないという姿勢だ。みんなでうちこんで作ったものほど、ふつうは欠点を認めるのが難しいと思うが、自分たちの仕事にはまだ何かが欠けているということを認め、それは何なのか、どんな手法があうのかをとことん追求していく、そうしてメディア・リテラシーを再定義するところまでたどりつくのだ。たんなるマスメディア批判におわらないのはこの訴求力のゆえだ。