あらすじ
300年前のメキシコに社会の規範や道徳と闘った女性がいた! 詩こそが最高の文学だった17世紀末。ソル・フアナはそんな時代に世界で最も愛された詩人だ。美貌の修道女でありながら、恋愛、女性の権利、学問への欲求、抑圧的な社会への抗議などをテーマとした作品を残した。彼女の思想を明快に表現した詩と2通の手紙を、詳細な解説とともにまとめたわが国初の試み。
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Posted by ブクログ
【本の内容】
詩こそが最高の文学だった17世紀末。
ソル・フアナはそんな時代に世界で最も愛された詩人だ。
美貌の修道女でありながら、恋愛や抑圧的な社会への抗議をテーマとした作品を残した。
彼女の思想を明快に表現した詩と2通の手紙を、詳細な解説とともにまとめたわが国初の試み。
[ 目次 ]
詩のアンソロジー
告解師への手紙
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
フアナの読者層はまず非常に限られていた。読み書きができる知識人は、男性なら上流階級や聖職者にほぼ限られ、女性では修道女や裕福な女性くらいしかいなかった。批判の声を上げていたのも、保守的な修道院関係者や宗教指導者たちだ。つまり、彼女の作品はごく狭い修道院や宗教コミュニティ内で主に読まれており、読者の中心は修道女たちだったと考えられる。そんな中で、世俗を断ったはずの修道女フアナが、自らの修道院をサロンのように使っていると批判された。ところがフアナは、その批判の焦点を「女が学問をすること」一点にすり替えた。そして正当性の主張を展開し、キリスト賛美や美辞麗句で自らの主張を権威づけ、修辞・比喩・引用を駆使し、知的で教養ある人物としての姿を表現したのである。17世紀の修道女がこれほど強気な文章を書くこと自体が驚きだ。さらに彼女は女性の教育の必要性についても訴えている。当時、女性にとって正しい生き方とされたのは結婚・子育て・家事、あるいは修道院での奉仕であり、学問や創作は逸脱行為と見なされやすかった。それをフアナはおかしいと断言し、歴史や聖女たちの例を引きながら意義を説く。その逞しさと知性には驚かされる。