あらすじ
骨は情報の宝庫である。古病理学は古人骨を研究対象とし、現代の医学で診断し、その個体の病気の経過と症状を明らかにする。骨にあらわれたヒト化の道のり、縄文人の戦闘傷痕と障害者介護、弥生時代以降の結核流行、江戸時代に猖獗をきわめた梅毒と殿様のガン……。発掘された人骨を丹念に調べあげ、過去の社会構造と各時代の与件とを明らかにする。(講談社学術文庫)
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Posted by ブクログ
DNA鑑定前の鑑定が多いが、骨に残った骨折痕に治癒しようとした様子があったり、寝たきりの少女へ手厚い看護をした様子が残るなど能弁に古代の様子を語る骨たち。埋葬された首のない遺体、背中や大腿骨に深々と武器が突き刺さったままの遺体から弥生時代には戦争があちこちで始まっていたことを伺わせる。
結核や梅毒が骨変化をも起こさせることを学ばせてもらった。
Posted by ブクログ
最後の「付録」を先に読むべきだった・・・。
「橈骨」とか、「腿を内側に内転させる筋肉」などなど、素人にはなかなかピンと来ないところがある。
付録には骨についての基本的な知識がまとめられている・・・のだが、これもまた難しい。
ただ、その難しいところがあっても、興味深い本だった。
縄文時代人は、ストレスもなく健康的だったというのは、骨から見ると、決してそうは言えないという話。
縄文人は狩などで体にかかるストレスが非常に多く、骨の老化も早かったそうだ。
その縄文人も、筋ジストロフィと思われる病人を長期にわたって介護して看取ったと思われる形跡があるそうで、これまた驚かされる。
梅毒は、決してコロンブスがアメリカ大陸から広めたわけではない…などなど、いろいろな発見があって、本当に面白かった。
Posted by ブクログ
「古病理学」という学問があるのを知った本。
本書の大部分が縄文時代に関する記述が多く、日本史全体を通しての「古病理学」からみた日本人の歴史を知りたかった、ということもあります。
しかし、とても有意義な本であったのは間違いないです。
Posted by ブクログ
読んでいる時に石垣島で発見された人骨化石が直接測定した人骨では国内最古(1万5千~2万年前)となることが分かったとのニュースが。
病気とは関係ありませんが骨つながりでタイムリーな話題だなと思ったりw