あらすじ
「それから」「門」へと続く三部作の序曲ともいうべき作品。いわゆる「無意識の偽善」という問題をめぐり愛そうとして愛を得ず、愛されようとして愛を得ない複雑な愛の心理を描く。三四郎を中心に展開される当時の東京大学学生生活の描写は、風俗史的にも貴重な資料を提供するだろう。明治41年作。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
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Posted by ブクログ
しみじみ、いい。とぼけた感じの三四郎に、善意で行動力もあるが空回り気味の与次郎、光る言い回し、クセになる言葉づかい、プラトニックな男女。やっぱり漱石は好きだ。でも電車の窓からゴミをすてちゃあだめですよ。
Posted by ブクログ
久しぶりに読むと、こんなにも美しく面白い話だったかと驚いた。後期3部作の、人間の本質に苦悩する重苦しさとは全く別の、瑞々しく美しい情景描写に惹かれる。三四郎と美禰子の、互いに意識するかしないかの心の通わせ方、距離の感じが素晴らしい。最も印象深いのは雨宿りのシーンで、情景が目に見えるような透き通った美を感じる。
多分、美禰子は三四郎に心惹かれるものはあったのだと思う。ただ、プライドか何かは分からないが素直にその気持を認められず、どっちつかずの態度を取らざるを得なかったのかと。三四郎がお金を返そうとしても中々受け取らなかったのは、無意識に繋がりを保っておきたかった表れではなかろうか。最後にお金を受け取った時、我はわが咎を知る、と呟いたのは、素直な気持を最後まで出さなかった自分を咎と称したのかと思う。stray sheepとは、時代の精神ともとれ、美禰子の自分自身を表した言葉とも取れる。
Posted by ブクログ
三四郎を中心に展開される当時の東京大学学生生活の描写が良い。
三四郎と美禰子の関係が最初に読んだときは、良く分からないしあまり面白さも感じなかったけど、何回も読んでいるうちに面白くなってきた。漱石の作品はそういうのが多い。
Posted by ブクログ
大学の時に初めて読んで、多分これで3回目かな。
すごく、ぼやーっとした淡い恋愛(青春?)小説。まるでピンボケしたレンズで主人公たちの感情をのぞいてるような…
でも次第に淡々としてられなくなって、溢れる思いを投げかける場面もあって、最後は、切ない!
100年前の小説だから、当時の人にしか通じない話題もあったり、ところどころよく分からない言い回しがあるのも事実だけど、そこはスルーしても十分物語として楽しめる作品でした。
これを機に他の夏目作品も読み進められたらと思う。(こころは高校の授業で読まされたけど、当時の自分には苦痛だったな笑)
p95
「風が女を包んだ。女は秋の中に立っている。」
この一文がすごく好きです。
Posted by ブクログ
こころと、坊ちゃんの間くらいのイメージ?
漱石もこんな爽やか切ない小説を書くんだ!と思いました。
今度三四郎池に行くので、美禰子さんの真似でもしようかな。
Posted by ブクログ
大学生の風変わりなスローライフが、森見登美彦作品感あって好きだった!
途中から与太郎は小津と思って読んでた、笑笑
また、好きな人と結ばれないオチも良いよね〜
(結ばれるより、よっぽど深みがある)
Posted by ブクログ
前期三部作。ちゃんと読むのは実は初めてだったが…いいねいいね、これはいい。
自分の学生時代を何となく思い出した。
勿論、こんなに多彩な人たちが、周りにいた訳ではないが、いつの時代も青春ってこんな感じだよなぁと思った。
三四郎の美禰子に対する言動が、段々と積極的になってきたところで、突然現れた紳士と結婚してしまう。
ただ…美禰子の方も、三四郎を憎からず思っていたのではないだろうか…と言うのは、短絡的過ぎるだろうか。
9月11日から授業が始まるから学校に行ったのに、誰もいない。学生課へ行って「いつから授業が始まるのか」と聞くと、9月11日からだと言う。でも、授業がやっていないと言うと、「先生が来ていない」と言われる。そこで三四郎は「なるほど」と思うのだが…いやいや「なるほど、じゃねーよ」みたいに、思わずクスリとくる場面もあり、文豪の書いたものだからと、ちょっと敬遠してしまうのは勿体ない。
文章自体も読みやすいし、田舎から出てきた大学生の日常、と言う感じでよかった。
ただ、与次郎。借りた金は返しなさいよ。