あらすじ
アキバから、宇宙へ。「科学の歌姫」で「最後のアイドル」、そして「人類の恩人」であり「世界の変革者」――これまでの常識を覆した新エンジン「ピアノ・ドライブ」を発明した、結城ぴあのの物語。人気アイドル・グループ「ジャンキッシュ」のメンバーである結城ぴあのには、もう一つの顔があった。秋葉原電気街の“お姫様”。電子部品を買い漁る彼女は、自宅のガレージで一人実験を繰り返していたが、その目的は「宇宙へ行くこと」であった。バラエティ番組のレギュラー・コーナーをきっかけに注目を集め、抜群の歌唱力を兼ね備えていたぴあのは、ジャンキッシュから卒業。“メカぴあの”との対決などを経て、トップ・アイドルへの階段を駆け上がっていく一方で、宇宙への夢を実現すべく、ぴあのは実験を繰り返すのだが……。超科学、人工知能、拡張現実、スーパーフレア……山本弘ワールド全開の感動SF長編。
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大暴走ハードSF
山本弘流の絶好調な科学SF、頭脳SFが楽しかった!嘘みたいな壮大さが気持ちいい。
ちょうど読了後に太陽フレアのニュースがあって、知ってる!となりました。
Posted by ブクログ
「プラスチックの恋人」で言及されていたので読んでみた。
時系列的には、
「プロジェクトぴあの」
「プラスチックの恋人」
「地球移動作戦」
という感じ。
読んでてわくわくする大傑作。SFはこうでなくては。内容的にしょうがないかもしれないが「プラスチックの恋人」にはこの部分が足りない。
「みらじぇね」は要するにブラウン・ラチェットを魔改造した第二種永久機関らしい。
ところで、光起電力効果ってなんであるんでしょう。エネルギーから仕事を取り出すには差が必要。高温と低温、高い位置と低い位置みたいな。光起電力効果はどの差を利用しているのかよくわからん。と本筋と関係のない疑問が読んでてふつふつとわく。
宇宙はとても広く新しい物理を発見しないと恒星には行けそうもない。物理を女の子に語らせないと絵にならないとか。そんな感じの話。恒星はともかく62マイル離れるだけならアイドルになる必要はなさそうですし。
Posted by ブクログ
近未来、リアルとバーチャルが入り乱れる世界で
天才少女がアイドルを経由して宇宙を目指す物語。
物理の用語や解説が難しすぎてわかりにくいが、
それを差し引いても楽しく読めました。
SFは壮大なホラ話と言う通り、いろいろと「そんなわけないやろ」みたいな所もありますが、この話は好きです。
初音ミクの「サイハテ」初めて聞きました。
Posted by ブクログ
マイミク氏の大絶賛を受けて読んでみた。絶賛するはずだやわ。こりゃすげえ大傑作だ。
天才マッドサイエンティストがアイドル?んで、そいつが宇宙に飛び立つ?
いかにもヲタが好みそうなベタ設定。
語り手は女装(しかも気合十分)趣味の男子。女装が好きなだけで同性愛者ではない。恋愛嗜好は女好きという、これまたヲタ好きしそうな設定。
と学会の人ってこういうことやりそうやなぁ。今度は何に対してどうケンカ売るんだろう、みたいな醒めた気持で読みだしたところが、エエ方向に期待裏切ってハマるわハマる。
主人公と語り手やライバルアイドル達、プロダクションの社長ら個性的な登場人物たちの生き生きとした絡み、身近に感じる近未来光景の描写、ちょっとイカした小道具のチョイスなんかを中心に、決して読みやすい部類には入らないはずの物理用語やら数式の解釈やら、そんなもんまでが文章のリズムを作り、宇宙への憧憬や科学技術の未来性や人類の希望やアイドルの終焉や、そして甘酸っぱくも実らないラブストーリーまで贅沢にちりばめた満願色のセンスオブワンダー!
「宇宙には夢と希望がある」って、こんな前世紀的真正面なSFのお題目を、剛速球でぶつけてこられたら、受けなしゃーない、当たらなしゃーない。
大森望あたりのSFヲタどもが、50ヅラさげて必死にアイドルのおっかけしてるのを、冷やかに見ていた俺だけど、この本読んで「なるほどアイドルと宇宙の組み合わせは合うわ」とよーやく意味が分かった次第。ヲタ好き設定もこういう調理法なら美味しく読める。ほんでこういうマニアックな相性の良さを、広く万人が味わえるように引き出してくるのは調理人(作家)の腕やねんなぁ。
ラストは憎いよ、こんな寂しいハートブレイクを久々味わったよ。読み終わったのは昼休みの会社やったけどちょっと泣いたよ。
小説家としての山本弘にはあまり接してこなかったが、この本読んで開眼!よーし今からおっかけるぞ。とりあえず「地球移動作戦」だ。
Posted by ブクログ
今年最高の本決定です。ぴあのはアイドルグループの一員で変り種担当。しかし、彼女は物理学の天才少女。アイドルでいるのは宇宙それもカイパーベルトを超えて太陽系外に行く為の技術を開発し自らが飛び立つことを目的としていた。まず手始めにブラウン運動を利用した第2種永久機関を作り世間を驚かせ、遂にはタキオン粒子の理論を構築し、これが宇宙空間におけるダークエネルギーであることを突き止めるとともに、それを利用した飛行機関「ぴあのドライブ」を開発してしまう。本には難解な物理用語が頻出し、理論を説明している文は私には全く理解できない。しかし、それはこの本の面白さをコケオドシ的に増すだけなのだ。様々なスポンサーから大金を調達した彼女たちグループは、6人が火星に2ヶ月半滞在出来る宇宙船を完成させた。しかしここでぴあのは反乱を企てる。6人が2ヵ月半なら、1人なら450日生きられる。これに単身乗り組み100日加速100日減速し船内時間450日でオリオン座大星雲までの往復宇宙旅行に出かけるのだ。しかしほぼ光速であるため、帰り着いたときには地球では3千年が経ってしまう計算だ。地球からオリオン座を見るとき、その方向には今もぴあのが1人で旅を続けているのである。
Posted by ブクログ
相変わらずのオタクよりの話ではあるが、作者お得意のトンでも本のマッドな話とありそうな実際の物理天文のオタク的な知識を組み合わせて、いかにもありそうな話として成立させて、読ませる作品として成立している。これはなかなかよかった。
Posted by ブクログ
タイトルをみて、地球移動作戦に出てきた、ピアノドライブの話しだろうと、発明者は女の子だったはずなので、この天才少女が主人公だろうと思って読んだら。やっぱりその通りでした。さすが山本弘先生。
相変わらず、細かい過去の事件などが詳しく紹介されるのだが、未来の事件ももっと作ってもいいんじゃないかと思う。2013年以降の数十年に事件などが異様に少ないように見える。
こういう開発秘話的なお話は非常に読んでて楽しい。
AIやARなどが日常生活に溶け込もうとしている過渡期の様子が興味深い。ただ、視点が少しおたく文化方面よりすぎるのが気になる。
主人公自体は、名被害者・一条(仮名)の事件簿の一条に近い感じ。最近の山本弘先生の作品でよく見る気がする。