あらすじ
※本作品は 2011年12月2日~2014年9月30日まで販売しておりました単行本版『ラストダンス』の文庫版となります。
本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。
プロ野球<スターズ>の同期、真田誠と樋口孝明。その野球人生は常に対照的だった。ドラフト2位で即戦力と期待された樋口はついにレギュラーを奪えず、真田はドラフト5位から球界を代表するスター選手へとのし上がる。そして今季、球界最年長・40歳の二人に引き際が訪れた。二軍監督要請という形で引退勧告を受けた樋口に対し、真田はシーズン半ばで突然引退会見を行う。ところが引退宣言以降の登板で真田は連勝、低迷していたチームも優勝争いにからむ快進撃を始めた。シーズン終盤、正捕手の負傷で一軍に昇格した樋口が、17年ぶりに真田とバッテリーを組む日が到来して……。予想外に展開する引退ドラマを濃密に描く感動作!
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Posted by ブクログ
「焔」で堂場野球小説に興味をもってしまい、手に取ってみた1冊。「焔」よりもオモロいぞ、これ。
ボール音痴で運動神経がどうにも鈍い俺は、野球やサッカー等球技ってのは一切才能なしなんだけど、観戦は結構好きでテレビでも見るし球場にも足を運んでた頃があって…。下手でも見て楽しい野球ってのもありだと思う。特にバッテリーと打者の駆け引きってのはじっくり見ていると実に面白い。さらに理屈が分かってる解説をしてもらえると深くて面白い。江夏の21球なんてのはその典型やと思う。
で、この小説はその駆け引き部分の描写が実に上手い。花形ピッチャーにも試合巧者のキャッチャーにも全く無縁の俺だけど、主人公2人が絡む会話が実に楽しい、言葉を交わす会話も良いし、お互いの腹の探り合いも良い、そして何よりエゲツない記録に挑むラスト、マウンドと扇の要でサインと表情と仕草だけでかわす2人の会話が実に良い。
野球ってこういう駆け引きがオモロいんだろうなぁ。半被来てメガホンで叫んで応援歌ガナるお祭り騒ぎも良いのだろうけど、駆け引きや人間ドラマをじっくりと見るマニアックな観戦ってのが、野球の醍醐味なんだろうなぁと思えてくる。
ご都合主義丸出し、小説でしか起こらないことも満載で、野球を本当に知ってる人には興ざめ感もあるんだろうけど、俺みたいな半端ファンには実にオモロい良い小説でした。
Posted by ブクログ
おもしろかった。僕の中では、氏のミスジャッジ、チームよりも上です。40で引退をかけたラストダンス。自分も野球をやってたから、より深く感情移入できる気がする。
40まで現役ってだけでも十分一流だと思う。。。。ラストもベタやけど、それをスポーツものの読者も期待してると思うし、これでバッドエンドってのは後味悪すぎるし。これでよかったと思います。
Posted by ブクログ
ロートルと言うと自分と同世代なので寂しいのですが40を超えた野球選手を中心にストーリーは進む。
一人はドラフト二位入団ではありながら、一軍と二軍を行ったり来たりのキャッチャー、もう一人は五位入団で怪我はありながらも、一軍で優秀な成績を収めたピッチャー。
同期入団でも道は交わることなく18年を過ごしたのだが、この二人の野球人生の終焉をどのように迎えるのか。
「真田劇場」と称し引退の花道を作ろうとした真田の意を汲んだわけではないがペナントレース終盤で優勝争いを繰り広げ、手に汗握る中最終戦へ。
マスコミを巻き込み、自分中心、わがままと言われ、チームでは若干浮きつつありながらも、野球人としては非常に優れた能力を持つ真田の最後は?
小説なのでなんとなくラストは見えつつも裏切られるのでは?と最終戦は本当に手に汗握りつつ、一気読みしちゃいました。
Posted by ブクログ
引退が決まった投手と捕手が最後の年に一花咲かせるという、王道感バリバリなお話。
とはいえ、展開にやや都合のよさを感じつつ(ホームラン級の当たりがファールになる場面が多すぎのような…)も、半端ない試合の描写力とキャッチャー樋口の駆け引きの妙に、かなり惹きこまれました。