あらすじ
ああ、殿さまなんかにはなりたくない。誤解によって義賊になった。泣く子も黙る隠密様のお通りだい。どんなかたきの首でも調達します。お犬さまが吠えればお金が儲かる。医は仁術、毒とハサミは使いよう。時は江戸、そして世界にたぐいなき封建制度。定められた階級の中で生きた殿さまから庶民までの、命を賭けた生活の知恵の数々。――新鮮な眼で綴る、異色時代小説12編を収録。※文庫版に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。
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SF作家として有名な星新一さんの珍しい時代小説。江戸時代の殿様や庶民、侍を描いた短編集。時代考証が正確で、時代の風景を知るのに、とても役に立つ。数ある歴史小説の中でも、新鮮さでは群を抜く作品集。さすが、星さん!
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江戸から離れたとある藩で、藩主の父親が亡くなったために藩主となった青年が、伝統に基づいて嫁を取り、参勤交代し、藩中にある借金などの問題を考える。大したことがない問題と思っていたものも、実は2代前からの積み残しであったり、思いつきで変えようとしたことは、実は先代の検討済みであったりと、簡単ではないことに気がつく。
中学時代から、手にとっては戻しを繰り返して読んでこなかった1冊。時代小説が苦手だったことと、冒頭の表題作が、どうもだらだらと要領を得ないし、会話がないので進まない印象があったからだろうと思う。
腰を落ち着けて読んでみると、表題作はいわゆる日常もので、色々やるけど実はすでにやられてるのよね、であるとか、国の要求するものをやっていくとコストがばかにならないんよね、しがらみもめんどくさいよね、という、現代社会風刺である。
2~4作目は、忠臣蔵を別視点でパロディにした話。ありえない話なのか、一部史実だったのかわからないが、1970年代の忠臣蔵ブームに便乗したものであろう。
後半は、主に当時の医学や占いをネタにした、星新一らしいショートショートの時代劇版。30ページ前後で最後に落とすというもので、こちらが前半にあったら中学時代も読めただろうなと思う。
江戸時代(特に綱吉時代)において、人物は恐らく架空で、出来事や時代背景を絡めてネタにするという作風。感染症および治療法などは概念すらないというあたりは、きちんと描かれており、やはり今の作家とはちょっと違うなと感じる。
読みにくいなと思ったら、後半の作品から読めばよろしい。
Posted by ブクログ
江戸時代の人々の暮らしを星新一らしいウィットに富んだタッチで綴った短編集。
SFでもショートショートでもないが、こういうのもアリだなと思う。
これに似たような設定で「城の中の人」という作品もあります。
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21世紀の今、コレをドラマ化するとウケるのではないでしょうか?
時代劇なのに妙にドライ。『踊る大捜査線』シリーズのような感じで。
この中では「道中すごろく」がお気に入り。