あらすじ
児童買春や犯罪の温床になるような仕事に就く少女たちについて、「特別な事情を抱えた特別な子どもが働いている」とイメージする人は少なくないだろう。しかし、将来の夢もあって受験を控えているような「普通の」女子高生が、「JKリフレ」や「JKお散歩」の現場に入り込んできている。「居場所のない高校生」や「性的搾取の対象になりやすい女子高生」の問題を社会に問い続ける著者が彼女たちの本音を通して、その実態を報告。
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Posted by ブクログ
現状は、行政や民間の支援者より、よほど裏社会の大人たちの方が女子高生たちと関係を築き、支援を提供し(但し、自分たちの商品として囲って搾取するために)、居場所をつくることに成功している。支援の窓口に来るのを待っていては、必要な支援を手元に届けられない。彼女たちのほとんどは生活に困窮して生きるために「JK産業」で働いている。「寂しさ」や「好奇心」といった類の動機ではない。
支援を届けるために積極的にSOSをキャッチして、繋がりをつくり、切れ目のない支援を行う必要がある。1つの支援機関で生活支援、就労、メンタル、家族関係などフォローすることは到底できるものではない。支援の網を広げていくことが必要。そして、1番重要なのは、子どもが「助けを求めてもいいんだ(SOSを出してもいいんだ)」「信頼できる大人って居るんだ」と思って貰えることではないだろうか。そこがスタートラインなのだと感じられた。
以下、心に残った言葉の抜粋。
「『ぐ犯少年』に対する措置はあるのに、なぜ、売春する
おそれのある男性や、少女を利用し違法に搾取しようとする大人たちに対しては何の対処もないのだろうか。少年たちは補導され、家庭や学校に連絡が行くのと同じように、犯罪予備軍の大人たちにも注意と家族や職場への連絡をしてほしい」
「日本では、学校教育における性教育やDV防止教育がほぼなされていない」「子どもや女性が性被害や暴力に遭わないための教育、身を守る方法を教育するだけでなく、男性が加害者にならないための教育や、被害に気付ける人を増やすための教育をしなければならない」
「厳しい状況にある人は大人も子どもも『人に頼る勇気』
がもてず、社会保障に繋いでくれる人とのつながりもない」
「子どもが『助けて』と言えない社会はおかしい」
「子どもを利用しようとする大人たちは、『困っている声』を敏感にキャッチし、アプローチしている。(中略)裏社会の大人たちは、具体的に彼女たちを支える仕組みを作っている。生活が困窮し、食事や住まい、託児所付きの生活支援をうたう風俗店で働く若年女性が増えている」
「彼女たちに必要なのは、①生活が困窮していても教育を受けられる状態にすること、②安心して過ごしたり眠ったりすることができる家、③安定して働ける仕事、の3つだ。それに加えて、『そこに繋いでくれる大人との出会いや関係性』」
「中高生は世間知らずで当たり前だ。世間知らずのまま裏社会へ流れ、そこで出会った大人に教育され、関係性も狭められていくケースは後を絶たない」
「『JK産業』に取り込まれていくような少女は、行政や若者支援者が窓口を開いているだけでは自分からは来ない」「表社会は彼女たちへの声かけをほぼまったく行っていない」
「裏社会のスカウトは、少女を最後まで見捨てない。一度
店に繋いだら終わりではなく、困ったことがあれば相談ののり、合わなければまた別の店を紹介し、少女の生活と成長をサポートし続ける」「一方、行政も民間も、卒業したら終わり、支援機関に繋いだら終わり、就職先が決まったら終わりという関係性や制度が多い」
→「一見、裏社会のスカウトは良いことをしているように見えるかもしれないが、商品として扱っているに過ぎない」
「どんなに社会保障が充実しても、そこに繋がることができなければ利用されるまでには至らない。社会保障の目的は『1人でも生きて行けるようにすること』ではない。人と人とが支え合い、知恵を出し合いながら生きて行くことができる社会をつくり、ほっとできる時間や笑顔になれる瞬間、気持に余裕をもてるような生活を誰もが送れるようになるための保障であるべきだ」
「少女たちに必要なのは、特別な支援ではなく、『困ったときに相談できる、信頼できる大人との関係性』」
「私にできないことなら、できる人につなぎたい。誰もいないより、ともに歩むほうがいい。だから、1人で抱えず声に出してほしい。声を出してもらえるような大人でありたい」
「一般論ではなく、あなただから、目の前のその子に
だからかけられる言葉をかけてほしい」
Posted by ブクログ
読んでいて情けなくなる、いや、それを通り越して悲しくなるルポである。
人様に迷惑をかけてはいけない、と言われて子供は育つ(最近はそうだろうか?)。
俺は違うと思う。
人は大人になっても他人に迷惑をかけて生きていく。
迷惑をかけるのを恐れて人との関わりを断つよりは、むしろ積極的に迷惑をかけるべきだとも思う。
むしろ俺はこう思う。
人様を悲しませることをしてはいけない。
法律だからとか、決まり事だからとか、常識だからとか云々理由をつけて様々なことが禁止されている。
が、そんな細かいことはどうでもいい。
自分がされて悲しくなること、自分が見て悲しくなること、そんなことを人にしないこと。
人様に迷惑をかけないよりは、大分ハードルが下がると思うのだが、どうだろうか。
本書ではJKリフレとか、JKお散歩、そして売春に至る女子高生数人のルポである。
SNSが作ったネット上の社会は人と人を繋げる反面、裏社会への入口としての間口を広げた。
居場所を無くした彼女たちの行きつく先の裏社会を描き出す。
さて、大町というド田舎でのんびりしていて、久しぶりに実家の高田馬場のニュースを見たと思ったら「個室で女子高生の大衆を嗅がせる。経営者逮捕」の店が高田馬場かよ。
ホント、ろくでもないな東京は。ホント、ろくでもない大人だな。
「これは大人の責任だ」作者は文中でそう指摘する。
お金を出して搾取するのは大人である。
職に貴賤はないというが、未成年を金で買うというのは職とか金とか働くとかなんだとか以前の問題だろう。それはダメだろう。やっちゃダメだろう。
貧困、社会の階層化、少子高齢化、無縁社会、ブラック企業、
全ての社会問題のしわ寄せは若者に背負わされる。
これらの問題に直面し、解決しなければいけないのは若者のはずだ。
俺は他人のブログは全然読まないのだが、唯一読んでるのが「Chikirinの日記」
その最近の記事で「かわいそうなお年寄りをもっと支援すべき!?」というものがあった。
若者にもっとも重要なものは教育だと思う。
大人が若者への教育をおろそかにし、その若者を搾取する構造は将来、国の崩壊を確実に引き起こす。
と社会もなんにも関わらない無責任な27才(独身・会社員)がぬかしております。
Posted by ブクログ
jkビジネスと、女子高生を支援する活動家話。
昔は、貧困層と不安定層(家族不和やメンヘラなど)がjkビジネスだったが、2014年ごろには生活安定層のjkも出てきた。家族仲や経済的にも充足している。関係性の貧困が原因。
普通の女子高生がjkお散歩をする背景には、無縁社会がある。頼れる人が居ないところに、お店に所属させて貰えて、相談にも乗ってもらえるし、気にかけてもらえる。家出した時は衣食住まで提供してもらえる。
仕事は楽という人と大変という人は半々。大変だからこそ生きがいを感じる。店に感謝する。
裏社会の大人は、少女の居場所作りのプロ。少女に認識される大人は、スカウト(20〜30代の良きお兄ちゃん)・店長(親戚のおじさんみたい)・オーナー(複数の店舗を経営する。たまに来て褒めてくれる偉い人)の三人だけ。
ちなみにjk散歩の平均月収は6.7万。3万、5万、10万に山がある。性交渉のオプションも31人中5人が経験してる。基盤率高い…
Posted by ブクログ
先日読んだ『日本の風俗嬢』にもあったのだけど、摘発を経て見えないところにどんどんもぐっていっているというのが本当に怖い。
無店舗型になることによって、より犯罪の温床となっている事実。
家庭の事情などが特には無い、普通の高校生がたくさん身を置いているということ。
見た目だけが一般化されることの怖さを感じる。
援交おじさんのようにねばりづよく声をかけ続けることの大切さと難しさ。
裏社会は少女たちを「商品」だから大切にしているのだが、表社会ではどんどん零れ落ちていく。
誰か一人でも、寄り添ってくれる大人がいたら。
また、自分の子供以外の子と関わることがないということ。地縁そのほかがなくなっている今現在、確かに無い。
身内に子供がいないと仕事を始めた段階で自分の生活範囲は大人だけの社会になるので、なんだか嫌だと感じていた。
子供がいるとかいないとかそういうことは関係なく、一度読んだ方がいい。