あらすじ
海沿いの小さな町で暮らす中学三年生の一。人に云えない不安を抱えつつも平穏だった学校生活は、いわくつきの転校生・七月の登場で様変わりしてゆき……繊細にして傲慢な少年たちの夏を描いた傑作青春小説!
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匿名
BL要素強いです。
「左近の桜」や「猫道楽」が好きならオススメです。
双子と従兄、とんでもない人たちだなぁと思って読んでましたが最後まで読んで安心しました。
イッくんと七月のこれからが気になります。
Posted by ブクログ
黒長野。少年たちの関係だけでなく、クラスの空気もピリピリしてるのがこれまでと違うなと思いました。主要な少年たちが孤独に弱い。
これまでは、高慢な美少年だけど集団でも上手くやってる、みたいな子たちだったけどイッくんは違う。七月と健はイッくんよりはメンタル強者。
主人公イッくんの学校生活が不憫でした。「イッくんはちゃんとしてるなぁ」で済まされててクラスの面倒見させられてても、彼まだ中学生だ。。
宮木あや子さんの長野愛が爆発しているけど冷静に分析してある解説とても面白かったです。作品が限りなく現実っぽい世界観でも、長野まゆみさんの描く少年は架空の生き物で、長野まゆみさんの作品にしか存在しないのすごいです。
作品の内容を考えるとつらいので、長野まゆみ少年を愛でる読み方するのが心にあまり負担がかからないな。きっと。尊死はするけど。
Posted by ブクログ
残酷なこの世界は、とても美しくて。
主人公・一(はじめ)は、田舎町の医者の末息子。双子の姉と兄とは年が離れている。地域の力関係が反映する学校では優等生を演じている。ある日、七月(なつき)が転校してきたことで、一の日常が変わり始める。
長野まゆみ的な、というのか。夏なのにからっとした潮風の爽やかさを感じる。主人公は美しい「未青年」であり、彼を取り巻く登場人物たちも、実際には居ない美しさを持つ。フィクションを思う存分に味わえる、薄荷菓子のような色気に満ちた世界。この物語は思春期女子には効くだろう。
自分の性的志向にコンプレックスを持つ。幼い頃自分を女だと信じ、またそのように振舞っていたのは双子の兄・十(みつる)と姉・百(もも)のせいで、彼らに今も振り回されていると思っていた一は、とあることから真実と彼らの愛情を知る。敵意を向けられ、体調を崩すまでに自分の世界を犯してきた七月とも、数々のすれ違いを繰り返し、距離を縮め、彼の想いを知る。変わったような、変わらないような、地元の有力者の息子であり教室の支配者である健との関係。一時はひび割れ崩れたかと思いきや、前と同じではないけれど穏やかなところに着地した令哉との関係。頼る人である従兄の亜細亜。どの登場人物も、一を愛している。そこがどうしようもなく、この世界に浸ってしまう。