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Posted by ブクログ
井上尚弥は4階級を制したボクシングの世界チャンピオン。元々アマチュアの強豪選手であったが、2012年にプロデビューを果たし、それ以来、25戦25勝(22KO)という、圧倒的な戦績を残している。パウンド・フォー・パウンドと呼ばれるランキングがある。これは、階級・体重差に関係なく、世界中の選手たちを専門家が評価し、「全階級を通じて最強の選手は誰か」を決めるものである。それは、サッカーで言えば、バロンドールを獲るようなものだろう。2022年に井上はこのランキングで1位となっている。もちろん、日本人選手としては初めての快挙である。
井上が最初に世界チャンピオンになったのは、2014年4月のことであるが、本書はそのタイトル戦の直前に発行されている。その時点で、プロデビューしてから5戦しか戦ったいないが、既に「怪物」と呼ばれ、いずれ世界チャンピオンになるだろうと思われていた。アマチュア時代を含めて、そこまでのボクサーとしての戦いの軌跡を、井上尚弥と、その父親がどちらかと言えば、淡々と綴っているものである。
本書を読めば、井上尚弥という選手が、本当に真っすぐに努力を積み重ねてきたことが分かる。しかし、それは「死に物狂い」ということではなく、自分自身に対しての自信を心の中に秘めながら、すなわち、「いつか自分は世界で戦う」という確信を抱きながらの努力、という感想を持った。