あらすじ
WBC世界ライトフライ級チャンピオン日本最短記録達成!ボクシング史上初の高校生アマチュア7冠達成、国内最速タイ記録での日本、東洋太平洋王座獲得と数々の記録を打ち立てた「怪物」井上尚弥。そして去る4月6日、井岡一翔(井岡ジム)を抜いてプロ6戦目でWBC世界ライトフライ級のチャンピオンに輝き、日本最短記録を更新。しかし、井上は「世界チャンピオンはあくまでスタートライン。本当に超えたいのは、具志堅用高さんの世界王座の13度防衛」と語る。ニュータイプ親子鷹ともいうべき、井上親子が世界チャンピオンになるまでの育成法、そしてその先に目指すものを父と子それぞれの視点から描いた。<主な内容>第1章 「怪物」誕生 第2章 プロでの軌跡 第3章 実戦経験を積んだキッズ時代v 第4章 オリンピックを目指した高校時代 第5章 世界チャンピオン、そしてその先の未来へ
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Posted by ブクログ
井上尚弥は4階級を制したボクシングの世界チャンピオン。元々アマチュアの強豪選手であったが、2012年にプロデビューを果たし、それ以来、25戦25勝(22KO)という、圧倒的な戦績を残している。パウンド・フォー・パウンドと呼ばれるランキングがある。これは、階級・体重差に関係なく、世界中の選手たちを専門家が評価し、「全階級を通じて最強の選手は誰か」を決めるものである。それは、サッカーで言えば、バロンドールを獲るようなものだろう。2022年に井上はこのランキングで1位となっている。もちろん、日本人選手としては初めての快挙である。
井上が最初に世界チャンピオンになったのは、2014年4月のことであるが、本書はそのタイトル戦の直前に発行されている。その時点で、プロデビューしてから5戦しか戦ったいないが、既に「怪物」と呼ばれ、いずれ世界チャンピオンになるだろうと思われていた。アマチュア時代を含めて、そこまでのボクサーとしての戦いの軌跡を、井上尚弥と、その父親がどちらかと言えば、淡々と綴っているものである。
本書を読めば、井上尚弥という選手が、本当に真っすぐに努力を積み重ねてきたことが分かる。しかし、それは「死に物狂い」ということではなく、自分自身に対しての自信を心の中に秘めながら、すなわち、「いつか自分は世界で戦う」という確信を抱きながらの努力、という感想を持った。