あらすじ
全知の天に運命を委ねる国ヴィオン。占により下町に捨てられ、呪いの言葉を吐いて生きる姫がいた。星と神の巡りにおいて少女は城に呼び戻され、隣国に嫁げと強いられる。唯一の武器である声を奪われて。星の石ひとつ抱き、絶望とともに少女は向かう。魔物のはびこる夜の森、そのほど近くの聖剣の国レッドアークに。少女を迎えたのは、夜の王に祝福を受けた、異形の手足を持つ王子だった。第13回電撃小説大賞〈大賞〉受賞作 『ミミズクと夜の王』 の続編、満を持して登場。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
最後の「約束、するわ。」の重さにハッとさせられた。国の頂点に立つものとして、民を飢えさせないと約束することがどれほど重いのか。毒吐き姫がこれからディアと良い国を作っていくのだろうと思う。ずっと見守りたい少女の物語。
Posted by ブクログ
一国の姫でありながら、占いにより、捨てられ貧民窟で孤独に育ったエルザ。口から言葉の毒を吐いて生きてきた娘。隣国の王子に嫁ぐことになり、出会った王子とともに暮らすことにより、世間を知り、愛情を知り、為政者の心を学び、いつしか、毒吐姫が、人の心を動かす言霊姫になっていく、美しい物語。エピローグでは、王子に不器用に恋をしているひねくれ者で短気なエルザが、微笑ましくてかわいかった~。
Posted by ブクログ
「ミミズクと夜の王」の続きの話。
まさか続きが出るとは思ってもみなかったので、とても驚きました。
そして、尊いと思う本ほど、大事に保存したがりな私なので、大事に大事に保存しすぎて、読むのが今に至ってしまった。
物語は、占により捨てられ、占により隣国へ嫁ぐことになった、呪いを吐く「毒吐姫」の話。
彼女が嫁ぐ先がディア。(ミミズク読んだことのある人が読めばいい)
国に振り回された彼女はなにものも信じず、すべてに毒を吐くことで自分の居場所を得ていたため、押し付けられた状況の変化をうまく受け入れられずにいた。
嫁いだ先にいたのは、与えられた道を自分の道として受け入れた人たちで――
という話でした。
今回のお話は、すべてを奪われた少女が、自分で自分の道を選ぶ話。
いつも女の子の強い話を書く先生だけど、今回強かったのは、一山超えたディア。
彼はゆるぎなく、王となる道を進んでいて、とても頼りがいのある男に育っていて、もはや親のような気分で、「嬉しい」ってなった。
そうかーそうかー、ディアが結婚かあ……みたいな。
そういうわけで、ゆるぎなくなったディアの元に嫁いできたのは、世の中全てを憎悪する姫だったけれど、それもまたいいじゃないかと思える素晴らしいラストでした。
きっとディアはいい王様になりますね。
ディアのお話が読みたい方にはオススメします。
私は、聖騎士様と聖剣の乙女の話も読みたいな……(もごもご)
Posted by ブクログ
『ミミズクと夜の王』と比べるとやはりというか劣ってしまう。何より毒吐姫の毒舌が好きになれなかったのは大きなマイナスポイントでした。なんだかな、だめだった。
前作の登場人物たちのその後が読めてよかった。特にミミズク。終盤まで出ないから登場しないのかと思った。そしてミミズクパワーは毒吐姫にも効果抜群でした。ミミズクすげー。これから仲良くしていけばいいと思うよ!
Posted by ブクログ
真面目な王子の王族としての責務・使命感と、孤独で聡明な姫のプライド・依存心のぶつかり合うさまを描いた話。だと思う。
まっとうな恋愛ではないのにどう見てもふたりは恋しているようにしか見えなくて、「どんな相手でもよかった」なんて独白に釈然としないものを感じつつも面白い。前作に引き続き童話ならではな都合のいい展開もありつつ(でもあの場面でミミズクが出てきて良かった!)、素直に感動できるいいお話。
というのが最終章まで読み終えての感想で。すごいのはエピローグ。
「あんたは!! 頭がよくても!! 女心がなにひとつわかんないクソ男よ!!」
このエルザの一言とその後の会話にものすごく安心した!
ふたりともそれぞれに恋心より優先したいものがあったんだな。一歩踏み出したその先で素直に恋をできますように。
個人的には前作の「ミミズクと夜の王」の方が圧倒されたのだけど、こちらもとてもよいお話でした。あとがきで触れられていた「鳥籠巫女と聖剣の騎士」も読みたいです。