あらすじ
両親が離婚し、母親と二人暮らしの少女・絣。未だに恋愛関係のもめごとが絶えない母親に対して、絣は時に大人顔負けの鋭い批評を口にする。しかし、その言葉の裏には、人一倍傷つきやすい心が隠されているのだった……。そんな絣のことを優しく見守る父、自らのひたむきな生き方で絣を導いてくれるボーイフレンド。様々な人たちに囲まれて成長する絣の姿をしなやかに描き、現代の家族のありかたを探る、魅力あふれる長編作品。
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Posted by ブクログ
「太陽の子」や「兎の眼」も大好きだけれど、私の中で灰谷作品ダントツ1位はこれ。
絣の恐ろしく頑なな潔癖さと冷静過ぎる視線に初めて読んだ時は痛快さを感じたけれど、今になって読むと全然印象が違う。
心のどこかで「こんな子いたら、ヤダ」と思い始めているのは私が彼女の父母の年齢の方へ寄り始めた証拠だろう。
触れるのが怖いとすら思う緊張感を、どうしてこんな風に柔らかく書けるんだろうか。
やっぱり人間への愛があればこそ、なんだろうか。
途中テンポが上がって話の進みが滑らかになるのは上野君が出てくるからだと思う。
彼が、すごく、いいんだ。
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灰谷さんの作品の中で最も好きな本の一つ。一番はやっぱり太陽の子だけれど、そんなにしょっちゅうは会えなかったおばあちゃんが突然亡くなり、そのときにちょうど読んでいた本。おばあちゃんの兄弟でとてもきれいな字と、俳句を作る人がいて、この本に書いてもらった。いろんな意味で今でも大切な宝物。
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中学生の時、絣ちゃんは、私なんだという錯覚に陥ってしまったのを、憶えてます。父にも、読んでもらった事があります。
こういう娘になりなさいって・・なったかなぁ〜私?
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決して子供が読むためだけの本ではない。親も子供を通して成長するということがよく描かれている。両親の離婚を経験した中学生の絣の、両親の狭間で動く、そして優しく繊細な心に感動できる
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離婚家庭で暮らす思春期の少女・絣。一緒に暮らす母は奔放な恋愛を繰り返し、絣はたびたび傷つきながらも日々母への理解を深めてゆく。
そして傷ついた時に絣を癒してくれるのは、版画家である別れた父だった。
絣、両親、そして不良のボーイフレンドを主軸に、彼女たちを取り巻く少し変わった人たちの物語。
自分も離婚家庭で育って、母と暮らし時々父と会う思春期を過ごしたから、重なるところがあるなと思いながら読んだ。(私は絣ほど父と頻繁に会っていたわけではないけど)
絣は思春期らしくとても繊細で傷つきやすいのだけど、発する言葉や思想がびっくりするほど大人びていたり、哲学的だったりする。だけど大人と違って真っ直ぐにぶつけすぎてしまうところはやっぱり少女で、その危ういバランスがとても魅力的な女の子だと思う。
「パパとママはまるで違う性格だけれど、人間とか、人間の関係なんていろいろあるという考え方はいっしょでしょ」
こういう言葉に表されるように、絣は周りの人間のことをとてもよく観察して理解している。
そしてそれは絣の両親やボーイフレンドも似ているところがあって、人をよく見て理解して行動する、という温かさがある。
不良のボーイフレンドが幼馴染みで精神病を患っている女の子と接するシーンなんかにも、そういう感じがとてもよく出ている。ただ優しくするだけが相手にとって優しいわけではない、ということ。
腹立ちまぎれに勢いで放ってしまった言葉が相手を傷つけることとか、やってしまったことで後悔して嘆くこととか、家族間でもやってしまったりする失敗がたくさん描かれていて、子どもも大人も関係なく情けないところが愛おしく、そういうことを乗り越えながら人を理解していく感じが光る小説。
少女の成長の小説、というほど仰々しくはなくて、日々の様々な出来事の積み重ねで少しずつ大人になっていくようなささやかさが良かった。
ドキッとする台詞満載で、それは作者の哲学や思想なのだろうけど、放つ人間の世代や性別“らしさ”がきちんとあるから違和感がない。
久々に付箋を貼り付けたくなる小説でした。
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灰谷さんの本は血のにおいがする。
濃くて熱い、親子や、友人や、恋人同士の間に流れる深い愛のにおいです。
出てくる人物のイキイキとした喋りが小気味良く、さくさく読める一冊。
でも内容はずしんと重い。
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少女絣とその家族、ボーイフレンドの物語。
絣の成長していく姿と、周囲の人たちとのかかわりが読んでいて心地良い。
灰谷さんの作品は本当に良いものが多いですね。
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「太陽の子」がおもしろくて、読んだことない灰谷作品を読もうと思って手にとった本。
灰谷作品の子どもたちは深いなあと思うこともあれば、ここまできちんとしてるのかなあ、理想的すぎるというか、作者の言いたいことを言わされてるというか、そんな感じもするけれど、自分もこんなに心がまっすぐで、深く考えられるといいなあと思う。疲れるかもしれないけれど。
会話が深くて、説教くささを感じなかったらぐんぐん読めると思う。
あと、子どものエピソードが読みたくて読んでるようなところがある。話にはっとさせられることも多いし。
ちなみに「天の瞳」は途中で断念してしまった。
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高校の課題図書でした。
何が好きって、東京の女の子と大阪の男の子の純粋な恋模様が描かれているとこ。何度も何度も読み返してニンマリしていました。
灰谷さんは他にも子どもを中心とした図書を何冊も出していて、幼稚園教諭として勉強させられる本が沢山あります。
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少女の成長だけではない。大人も成長していく。子どもの成長は早い。大人のそれは緩慢だ。だけど確かに子どもと歩みゆく親の様子の方がグッときた。それは須らく子どもの成長に誘発されたものである。だから子どもは偉大である。
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人の温かさが分かる本だと思いました。
感受性の高い年代の少女の等身大の考えや行動、想いが伝わってくる話です。
読んでいて、母親と娘、父親と娘の会話会話のキャッチボールが日常的で面白いと感じました。