あらすじ
「ネコは生涯の伴侶」「次の世には私は猫に生まれて来るだろう」と語り、七十五年の生涯で五百匹以上の猫を飼った文豪・大佛次郎。仕事に向かうと極端に無口で怒りっぽくなる心をなごませてくれるのが猫であった。猫は人間に冷淡なので好きだ──そう述懐する著者の猫への眼差しは、どこまでも暖かい。猫に関する小説、童話、エッセイを集大成した猫好き垂涎のロングセラー!
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
とても親しみの持てる、大佛次郎氏による猫のエッセイと小説。WW2と時期が重なっていた、つまり戦時下の猫たちの様子も語られている。なんといっても良いのは、軽妙で味わい深く、「こいつめ」と愛情深く猫を見ながら語るような眼差しだと思う。大佛さんの猫好きはちくまの「猫の文学館」から知ったのだが、本著はそれで語られたよりずっと多くの、いとおしく面白く、小狡く、聡く、ときに滑稽な猫たちを見せてくれる。哀惜のようなものも漂っているが、読んでいて重石をかけられたように感じないのは巧みな筆致と文学的猫愛(?)のなせるわざだろう。
Posted by ブクログ
表紙買い。開いてみて文体の古さに驚く。
まさか昭和初期の雑誌に掲載されてたエッセイだとは思わなかったのでビックリした。
旧字体もあるため、さくさくとは読めなかった。
編集後書に、差別的だったり、今なら動物虐待に該当するような記述があるが、時世でもあるのであえて残したとある。
確かに子猫を産まれてすぐ捨てるとか、そういった記述もある。
でも猫好きの人間はどの時代でも可愛がるし、人様の家に子猫を勝手に捨てるとか自分勝手な人間もいたりと、変わらないんだなぁ、と思う。
猫が隣の家の鮭の切り身を取ってきちゃった事件でも、戦時中の食事事情(配給制だから)についてわかる。猫話なのに近代史の勉強にもなった。
話中の娯楽芝居とかでも化け猫という演目をあえてとりあげるとか、筆者の猫好き度合いがわかる。
シャム猫が好きだけど、飼ってしまったら他の猫(足が悪い猫とか人間に怪我させられた猫とか)をかわいがれなくなるから、我慢しているとか、読みにくいけど、読むとほっこりする( ´∀`)
高齢になってからのエッセイなので、最近はロックというものが流行ってるらしいとか、若者の流行りについていけてない感じとかがリアル(笑)
ビジュアル系バンドが出たときの父の反応とまったく同じだ(笑)