あらすじ
文化二年、お盆の頃。摂津尼崎藩江戸家老・塩谷隼人(しおやはやと)は胸に虚しい思いを抱えていた。それは、還暦を過ぎた今となっても父の仇討ちを果たせていない悔恨からきている。そんな折、両国広小路で暴漢たちに絡まれていた一人の武士を助けた。松崎と名乗るその武士は、聞けば四十年の間、親の仇を追う身であり、奇しくも隼人と同い年であった。因縁を感じた隼人は、助太刀を決意するが……。
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時系列的に…
並行したシリーズである「五坪道場一手指南」の第4巻中盤より以前のエピソードが綴られている(茜姫がまだ柳生道場の門下生。彼女は「美剣」の第3話で他流試合のために破門されている)はずなのだが、この「美剣」の中で左内とねんごろになっていく過程が語られている割には、それ以前のエピソードであるはずのこの本の中で、この2人、もう恋仲と云って良い間柄になっている。
こんな、ちょっとした矛盾があるのだが、それを不満に感じさせない、一種の「軽さ」がこの作者にはある。
一種独特だが、ラノベの文体から借りて来た様な文体のせいかも知れない。
次は「一手指南」最終章の後、やっと隼人も隠居が叶い、市井の暮らしを始めたところから新シリーズはスタートする。
ここまでは絡まり合いながらも並行していた左内と隼人の物語が、小説としてひとつに纏まって語られるようになるのだろう。
乞うご期待。