【感想・ネタバレ】帰還せず -残留日本兵 六〇年目の証言-のレビュー

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Posted by ブクログ 2017年08月17日

戦場に置いて一番大切なことである補給線を無視し、日本陸軍に
壊滅的な打撃をもたらした悪名高き「インパール作戦」。

その作戦に参加した兵士の何人かは、敗走中に軍からはぐれ現地
の人に匿われる。軍で身につけた機械修理の腕を生かし、住み着
いた村で重宝される者もいれば、故郷の長崎に原爆が落とされた
こと...続きを読むを知り、日本に帰国する為に日雇い労働で費用を貯めて、
やっと帰国した故郷であるのに兄弟に冷たい仕打ちをされ、
再び日本を捨てる者もいる。

戦闘らしい戦闘もなく日本の敗戦を告げられたジャワの兵士たち
は、「何の為に南方に来たのか」との思いを抱え、インドネシア
独立戦争に身を投じる。そして、独立宣言を読み上げるスカルノ
大統領の警護に当たる。

帰国しようと思えば、いくらでも機会はいくらでもあった。
しかし、彼等は住み着いた土地に骨を埋めることを選んだ。

若くして兵隊に取られ日本を知らないから。日本には既に
家族がいないから。ジャングルの中で誰にも看取られず死んで
行った仲間の遺骨収集と慰霊を続けたいから。

それぞれに、平坦な人生ではなかったろう。しかし、辛苦の道を
歩んで来た人たちの話は後悔の念は感じられなかった。

久し振りに『ビルマの竪琴』を読み返してみたくなった。いい取材
の出来ている本書だが、著者の戦争に対する予備知識の不足と、
本文中の「!」や「!?」の多用が台なしにしているな。

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