あらすじ
誰にも書けない「深海生物観察記」。
著者の石垣幸二さんは、世界にも類のない深海水族館『沼津港深海水族館』の館長であり、一方で、世界中の水族館や研究施設からの依頼で希少な海洋生物を納入している“海の手配師”としても活躍しています。自分で捕獲し、飼育・観察し、水族館での展示の工夫まで考えているのです。本書では、その石垣さんが実際に捕獲し、観察しているからこそ判った深海生物の不思議な生態や、飼育・展示の苦労話などを余すところなく語り尽くします。深海生物のカラー写真もたくさん掲載しました。
一方、“海の手配師”としての仕事もエピソードにあふれています。漁の際に船を出してくれる漁師さんたちとの付き合い方、世界一のサプライヤー(生体供給業者)を目指すきっかけになった人との出会い、採算を度外視してでも誠実に仕事をして信頼を得る、捕ることよりも実は搬送のほうが難しい……深海ビジネスを初めて成功させた男といわれる石垣さんの仕事への真摯な取り組み方は、ビジネス書としても一読の価値があります。
【ご注意】※この作品はカラー画像が含まれております。。
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Posted by ブクログ
深海生物の本はずいぶんたくさん出ている。キモチワリー、スゲー、という怖いもの見たさ的な本が多い。でも本書は違う。ぜんぜん違う。
もちろん深海生物は出てくる。ダイオウグソクムシも、もちろん出てくる。けれど、それが主ではない。
むしろ、深海というブルーオーシャン(って、書くとおかしな想像が生まれそうなので、書いてみたかったが、深海生物自体はそれほど儲からないらしい)を通じたビジネス本なのである。
この水族館には行ったことがあるし、著者の他の本も読んでいたから、おおむね予想をしていたので裏切られた感じはない。(表紙にもあるメンダコは、ちょうど展示されてなくて、見られなかったんだ。そっちのほうが残念)
生き物を商売にすることへの葛藤を持つ人や、それを批判する人も多いだろう。僕にもそんな気持ちがないわけではなかった。けれど、そのことについても正面から答えている。
まさかこのメンダコの表紙の本で、そこまで読めるとは思わなかった。一方で、リュウグウノツカイは食べたらかなりまずかった、というようなネタも含まれている。あえて扱いが大きくないが、スゲーという写真も、ある。
というわけで、一冊で何度かおいしい本だった。