【感想・ネタバレ】ジェントルマンのレビュー

あらすじ

眉目秀麗、文武両道にして完璧な優しさを持つ青年、漱太郎。しかしある嵐の日、同級生の夢生はその悪魔のような本性を垣間見る――。天性のエゴイストの善悪も弁えぬ振る舞いに魅入られた夢生は、漱太郎の罪を知るただ一人の存在として、彼を愛し守り抜くと誓う。切なくも残酷な究極のピカレスク恋愛小説。

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運命の出会い、というものがある。
夢生にとって漱太郎との出会いがそうだ。ハンサムで誰にでもやさしくてクラスの人気者──最初は、その「ジェントルマン」っぷりに違和感をおぼえていた夢生だが、漱太郎の秘密(彼は悪魔である!)を知ることで、激しい恋に落ちてしまう。漱太郎は誰のことも愛さないが、夢生だけは「特別だ」と言う。それは、愛ではなく呪縛である。
最低な、本当に最低な人間だと思うのに、いつの間にか漱太郎に惹かれている。人は相手が「善人」だから恋をするのではない。それをまざまざと思い知らされる。
男が男に命がけの恋をする…という意味では、BL好きの淑女方にもオススメだが、パステルカラーの甘い菓子ではなく、毒がたっぷり入ったブラックコーヒーだと認識したうえで読まれたし。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

再読。この小説を表すのにどの言葉を選ぶかによって、印象がガラリと変わるなあとみんなのレビューを読みながら考えた。裏扉の「切なくも残酷なピカレスク恋愛小説」がピッタリでしょう。BLとかヤオイとかヤンデレとかサイコパスとか、そういうことじゃないから。山田詠美さんの描く恋愛の苦しさを長年愛でてきたが、またひとつ違う世界に足を踏み入れた気がする。表現も、以前の粘性の高い皮膚感覚的なものから、原色あふれる視覚的な要素が増えたと思う。まだまだ恋愛モノを書き続けてほしいです。

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2014年08月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なるほど、漱太郎のやばさとはそうゆうことか、と納得する場面も束の間、なんとBL展開。
いや、私は女だしレイプ魔は許しちゃいけない存在だけど、漱太郎に恋する夢生のこともわからないでもなく。落ちのおかげでスッキリ。

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2022年10月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

息つく暇もなく一気に読んでしまった。途中でやめることがなぜか出来なかった。

漱太郎は人の姿をした悪魔だ。究極のエゴイスト。無邪気に残酷なことをする。けれども普段は世間体を身につけて、眉目秀麗、文武両道、誰にでも優しく親切なのだ。
そんなある時、彼の悪事を目の当たりにしたゲイの夢生は恋に落ちる。彼に惹かれ共犯者となり、圧倒的な支配下に身を置くことになる。

何十年も恋心を残酷に扱われていた夢生も気の毒(でもそれは自らそうしているので)だけど、シゲのことがほんとうに可哀想でショックで。
今は、すごい小説読んでしまったと改めて思っている。

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2021年04月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

同性愛、不毛で究極の片想い。
山田詠美さんの今まで読んだ数作品はすごくダイナミックで繊細で形容しがたい感情にさせられたけど…。うーん、私が年をとったせいか、これは響かなかった。
レイプをはじめ、サイコパス瀬太郎氏の犯した罪らが陳腐なファンタジーに読めてしまって…。完全犯罪みたいな流れだがいやいや痕跡残しまくりやろ。

しかし、ユメの罪の象徴である鋏が、罪をおかした最愛の男へのギロチンになるとは…

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2020年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

言葉を失うほど焦がれている相手を、殺すことで、永遠に結ばれると信じて疑わない夢生こそ罪の意識がなく、傲慢だ。
自分ではない他の男を抱いたという事実に腹を立てたのか。それにしてもラストの夢生の行動がとても飛躍しすぎている気がして、冷めてしまった。血の海が小説の最後にふさわしいとは思えなかったからだ。

主人公の誰にも感情移入ができなかったけれど、夢生や漱太郎の名前はしばらく頭から消えないだろう。そこがやはり山田詠美の凄いところだなと思う。

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2017年11月06日

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