【感想・ネタバレ】すしいち!(7)のレビュー

あらすじ

シリーズ累計10万部突破、
すしグルメ漫画の決定版、最新巻!

「中華一番!」の作者が描く、「中華一番!」を超えた
感動・冒険のグルメ漫画、最新刊!

浅草に、銚子に、三浦半島に
最上の寿司ネタを 求め江戸前を縦横無尽に旅して巡る、
夢と感動の読切6篇を収録!!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

感想を書く前に、一つ、言わせてほしい
とりあえず、担当編集さんが作ったと仮定するが、この(7)の帯には、「『中華一番!』を超える友情・感動・冒険のグルメ漫画!!」とある
この『すしいち!』が面白いのは認める。友情、感動、冒険の三要素があるのも間違いない。しかし、まだ、『中華一番!』は超えてないだろう、と思う、私は。どこが超えてないのか、と小川先生に聞かれたら実に困ってしまう。こればかりは、ファンとしての感覚、印象、直感。帯に対し感じてしまう、漠然とした違和感なので、上手く言えない。あえて、違いを挙げるなら、料理勝負独特のハラハラがない、かな
まぁ、料理勝負が繰り広げられたら、面白さの質が上がるかっつーと微妙な気もする。江戸城での御前試合編は面白かったが、『すしいち!』はバトルがなくても、これだけ面白い。なのに、わざわざ、ライバルと味競いをしてもなぁ、と一読み手として思ってしまう。我儘なのは百も承知、しかし、このまま、突き進んでほしいのが本音だ
この作品に限らず、料理漫画に登場する料理人が本当に全力を持って挑むべきは常に己自身、越えるべきは昨日の自分なのだから。料理の可能性が無限大なのは、果てなき想像力と探究心、上を目指したいってキモチを料理人が持っているからだ
この『すしいち!』の主人公・生駒鯛介も、常に寿司と真摯に向き合い、どうやったら、もっと美味くできるか、と自分に限界を設けていない。まぁ、その姿勢は、店主のおりんにとっちゃ参っちまうもんな訳だが、こればかりはどうしようもない。惚れた弱みと笑ってやってくれ
あくまで、私個人の感想だが、この(7)は鯛介と蛤吉、この師弟がメインだったように感じた。一職人として優れているからこそ、その技術を受け継ぐ後継者を育てる事を、周りは求めるようになる。師としての壁にぶつかり、弟子を成長させることで、鯛介もまた一つ、上のステージに行けそうだな
個人的に印象的だったのは、第三十六話「手巻きの奇跡」だ。お互い、頑固なトコが似てしまった父と娘が時を経て仲直りをするってストーリー、弱いんすわ。そんな二人の橋渡しをしたってのが、鯛介や蛤吉ではなく、まさかの観世音菩薩様って、ファンタジー感が漂ってるこの回は、小川先生らしさが濃いようだ。神仏に祈れば万事が上手く行くわけじゃないにしろ、感謝を忘れなければ応えてくれる時もあるのだろう。もちろん、恩返しを期待する下心があっちゃ駄目だろうけど
この台詞を引用に選んだのは、寿司職人としての極みの一端が見えるからだ。鯛介ですら、まだ至ってない境地にいる大名人だからこそ、この重み。鯛介もこの年齢で、多くの壁にぶつかり、それを越えて力にしてきたけど、この人はもっと多くの壁を越えている。しかも、まだまだ、自分の成長に満足してないと見える。形も味も決まり切っていないモノを極めるには一生を懸けねばならぬ。大成するか否かは、向き合う覚悟をどれだけ長く保てるか、なのだろうな

0
2017年05月28日

「青年マンガ」ランキング