あらすじ
高校時代、控えの投手として野球部に在籍しながら一度も公式戦のマウンドに上がれなかった男は、電気工務店に就職してもなお、仕事の合間をみては弁当箱をホームベースに見立て、ひとり投球を続けていた。その日もいつものように投球を始めると、背後に熱い視線を感じた。そこに立っていたのは、左官の見習いをしていると噂に聞いた、かつてのエースピッチャーだった――。(「電気工事夫の屈託」)憧憬、懐古、恐怖、愛憎……。人間の持つ様々な心情を物語に凝縮させた掌編小説集。
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Posted by ブクログ
ひとつ4ページくらいの短編が21個。
こういうのって全部の短編でテーマを揃える、とか書き出しを同じにする、とかよくあるけど、どれも20ちょっとくらいの男が初めて会社に入って大きなことも果たせない、っていう話。ちょっと切ないようなだったり、怪談みたいだったり。あ、でも怪談めいた話は原田さんはやめたほうがいい。
タイトルが「人の短篇集」でどういう意味なんだろう。「人の」は「他人の」って意味じゃないのか。「あとがき」か何かで説明があると思って、短編一つだけ読んで「あとがき」を読もうとしたけど「あとがき」がなくて「解説」しかなかった。結局ナゾ。
Posted by ブクログ
小川コーヒーで読み終えました。個人的にはガソリンスタンドの店員の一生が一番この作者らしくなくて印象的だった。なんか後書きにもあったけど、人生の1ページを切り取ってるって感じやね。例えどんな平凡な人生だとしても、その人にとっての人生の転換点はドラマチックなものであるのだと再確認しました。平凡な人生の転換点ということで思い出すのは古谷実の作品だと思う。稲中であれ、僕と一緒であれ、グリーンヒルであれ、貫いてるのは平凡な人生が何かを境に普通じゃない世界に引きずりこまれること。そして、もとのレールに必死に戻ろうとしている人間の生き方をすげぇシニカルに書いてるから面白いと思う。どんなヤツでも話をして奥まで突っ込んでみると変で面白いということが分かるはずです。
Posted by ブクログ
再読。この人がうつになったあたりから作品を読んでいなくて、久しぶりにどうされてるんだろ?とググッてみたら、ダブル不倫だの離婚だの愛人に子供が出来ただの破天荒なエピソードばかりヒットして驚いた。なんだかんだ、いいパパでいい旦那さんぽかったのに。でもこの短編読むとダーク宗典さんはこのときから健在なんだな。マハさんとは仲良し兄妹でいてほしいな。
Posted by ブクログ
「海の短篇集」に比べると、やや大人しい印象。
と、いってもあくまでも個人的なものですが…。
原田さんはシリアスとエッセイとの差が激しいので好きです。
Posted by ブクログ
10ページ弱ほどの短編が集められた本。読みやすく、すいすい読んでいくと最初の方に読んだ内容が薄れていくのは人通りですれ違った人々に対する感覚に似ているかもしれない。作品の並び方に愛を感じた。