【感想・ネタバレ】戦前昭和の社会 1926-1945のレビュー

あらすじ

「大学は出たけれど」、新興宗教ブーム、10銭均一売り場……「暗い時代」の明るい日常生活。「十銭均一売り場」に足を運ぶ消費者、女性の地位向上を推進するモダンガール、新興宗教ブーム、就職難にあえぐ学生──。現代社会の原点=戦前を生きた人びとの実像を描き出す一冊。(講談社現代新書)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

今、社会にこの10~30年にはなかった焦りの伴う「熱狂」のようなものがある気がしていた。
いろいろなマスコミ、論調の中で、例えば「戦後最大の転換期」や「右翼、国粋主義の高まり」、「(膨張する中国やその他韓国、ASEANなどの成長中の国々と比べ)相対的プレゼンスが低くなってゆく日本とその焦り」など、今の時代を形容しようとするコメントやフレーズはいろいろあったと思う。ただメディア規制法や集団的自衛権の解釈改憲・安保法案などの、昨今の政治的改革を見ていると、メディアを含め多数の国民の側に急に変わることの戸惑いと焦りがあるようにも感じていた。日本全体的には、2012年の衆院選だけでなく2013年の参院選でも安倍政権を選んだ体になっているのに。(むしろ急いで成立させようとしたからだろうが)掲げるポリシーが変わったわけでなく、確実にタカ派的保守本流の理想を実現しているだけなのに。決められるカリスマを求めて安倍さんを選んだはずなのに。今明らかに戸惑っているこの国ってどうなんだろう、と思っていた。そしてその焦りを隠すかのようにいろんな「熱狂」が垣間見えるように感じていた。

本書はブックレビューで知り、非常に気になった。以下、少し僕の言葉も交え、まとめてみます。

戦前昭和の時代も戦後直後、そして現在と同じように「アメリカ化・格差の是正・大衆民主主義」の微妙な均衡で成り立っていたということ。また最後には、近衛文麿というカリスマが3度目の失脚で退陣し、敗戦へ向かっていくが、戦後日本も上記3つの実現化で社会を進めてきたこと。
「アメリカ化」→親米保守
「格差の是正」→①戦後改革と②高度成長。①は汚職・貧乏・暴力の三悪追放運動。②は所得倍増計画等の計画経済的施策
「大衆民主主義」→戦前よりも統制度合いの弱まった政府・社会

実は昭和初期の上記3つは連環的につながっている。
「アメリカ化」:アメリカ志向の文化・経済・政治的発展が進むと社会格差が問題に
「格差の是正」:途中世界恐慌を経ながらも社会格差(貧富・男女・労使)の解消に取り組もうとすると、大衆は「社会平等」「下方平準化」の志向へ
「大衆民主主義」:該当の運動は世界恐慌後のブロック経済からの孤立も相まって、実は全体が「1つの目的」へ向かおうとするファシズムの醸成へつながる。戦前昭和はドイツのファシズムを大衆レベルでも歓迎していたようだし、そこには逆説的に社会平等への期待もあった。

こうまとめられると、今の日本も「アメリカ化」「格差の是正」「大衆民主主義」の3つの要素を、主たる要素として孕んだ進み方をしているし、先に述べた「熱狂」はまかり間違えば戦前昭和のファシズムと酷似していると思えてならない。

個人的に僕は、長期的には「世界平和」を核心に、「自制の付いた自由」と「主張・選択の平等」(結果平等までは意味しない)を謳う政府になるよう進んで欲しいし、その為の貢献もしていきたいと思っている。
ただここ5~10年といった短・中期的にはどうすべきか?どう、このファシズムを転化していくか?例えば日本社会が得意とする「内向き融和社会」(ムラ社会)の作り方を世界各地に広めるのが日本の使命だ、と思いこんで世界にどんどん飛び出して、有り余るエネルギーを国内不安から海外貢献へ向けていくよう、政治を進められたらなと総理大臣になったつもりで夢想したりしていました。

<ファシズム転化の方法案>世界の貧困地域に、団結したコミュニティを作る。
例:アジア、アフリカの極貧困地域に行って、まず団結して得られる経済的利益(「ムラ」を作ったら)を説く。学校や畑、共同の水利場などのインフラも整えつつ、スポーツチームや祭りなどで団結することそのものに慣れてもらう。こうした地道な「ムラ」づくり活動を、日本が独自で淡々と積み上げていく。
人は自分より貧しい人を見た時に、自分が貧しいとは思わないし、むしろ活動の積み上げで起こる、他者への貢献感が自分に誇りを与えていく。日本人は働くことにアイデンティティを感じる民族、と言われているくらいだから、思い切りその「熱狂」(=エネルギー)を他者である外国のために働くことでぶつけたらいい。
この活動がもたらす実りは(日本人の自尊心への影響以外で)、少し時間がかかるかもしれないが、少なくともこのような「積極的平和」活動をしている国を攻撃する論拠は見つかりにくいだろうし、これは現行憲法の理念の一つの「振り切った」推進だと思っている。
軍備力を増強しながら、連鎖的に増強し合う相手とともに不安のスパイラルに陥るジレンマから、いち早く脱却することにも繋がる。
退職したおじいさん・おばあさんでも、専業主婦(夫)やフリーターや無職でも学生でも誰でも、外に貢献したい人はドンドン支援、奨励する日本。
もちろん在職中の人でも構わないが、企業が海外青年協力隊への協力で休職させたりして払う費用負担より、上記のような人々への経済支援の方が、社員の離脱・退職リスクも考えると理にかなった策ではないかと思っている。

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2015年12月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

漠然と知っていると思っていた近現代のイメージがかなり修正される良書。祖母や父親から聞いていた時代を生きていた人の実感を思い出した。
今の日本と戦前の日本が似ているとはよく言われるが、「アメリカ化」「格差社会の進行」「大衆民主主義=カリスマ待望」の3つの切り口から、豊富な資料を基に鮮やかに描き出している。まさに目から鱗であった。
「1941年の太平洋戦争の直前まで、世論はむしろ親アメリカであり、アメリカへのあこがれが文化のかなりの部分を占めていた。例えばドイツにならってジャズを規制しようとした当局も結局は新しい音楽は国民にとって有益で有り、規制をするにはあたらないと結論づけていた」
「農村の疲弊、大学生の就職難など格差の顕著な進行につれ、人々はカリスマ指導者を求め、近衛文麿の人気はまさに国民的であった」などなど
38年頃までは、大多数の人々は戦争など全く無関心に生活していた。
しかし39年から短期間に日本は軍国主義国家に変貌し、「鬼畜米英」をスローガンに太平洋戦争に突き進む。これも国民性のなせる技か。
次があってはならない。

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2011年09月24日

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