【感想・ネタバレ】エピジェネティクス 新しい生命像をえがくのレビュー

あらすじ

ゲノム中心の生命観を変える、生物科学の新しい概念「エピジェネティクス」。遺伝の影響でもない。DNAの突然変異でもない。分子レベルのごくわずかな化学的変化が、目をみはる不可思議な現象を引き起こす。自然の妙技と生命の神秘。世界中のサイエンティストが熱い視線を注ぐ、いま一番ホットな話題を楽しく語る。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

リチャード・フランシスの「操られる遺伝子」で未消化だった箇所が次々に氷解!
特に、遺伝子発現の制御について、前書でDNAのメチル化による、とサラッと流されていた(しかも、ヒストンについての記述はほぼ皆無だった)ところ。二章の後半を割いて説明されており、筆者は「ややこしい分子生物学的説明だから飛ばしても」と、三章以降を読み進めるための最低限の基礎知識を二行に要約しているが、個人的にはココがキモ!

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2018年04月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

エピジェネティクスについて著者が真面目に解説した本。
いつもは大阪弁丸出しの親しみやすい文章ですが、今回は学術的なトーンです。とても勉強になる。名前は知っているけど、ヒトに説明できるまでには至らない知識について得るには最適と思います。

エピジェネティクス
最大公約数的な定義として「エピジェネティックな特性とは、DNAの塩基配列の変化をともなわずに、染色体における変化によって生じる、安定的に受け継がれうる表現型である」
”受け継がれうる”なので、遺伝したり、しなかったりななんですね。そーかぁ。
DNAのメチル化についても、ある遺伝子のDNAが高度にメチル化されると、その遺伝子の発現が不活性化され、その遺伝子がコードするタンパク質が作られなくなる、
で、ヒストンがアセチル化をうけると遺伝子発現が活性化される、とざっくり覚えておけば良いという、ざっくり感が名著たる所以と思います。
他にもポストイットを結構貼付したのを見て、あー勉強になったな、と思えた本です。
おすすめ。

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2022年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最近取り上げられることの多いエピジェネティクスという学問分野について紹介した本です。
新書はこうあるべき、と自分が思っているものに合致した内容だったので、読後の満足感がありました。
(なんか自己啓発本が新書を侵食している感じがして個人的になんだかなあと・・)
脚光を浴びているイマココ分野への冷静な目
けれどわくわくさせてくれる確かな情熱、
そして(あとがきでも狙ったと書いていたが)少し背伸びをすれば読めるレベルの内容、
とてもバランスの取れた良著だと思います。
☆関連本として『世界は分けてもわからない(福岡 伸一)』をおススメします。

以下、内容紹介。

私を構成する細胞は、爪先だろうと心臓だろうと同じ設計書から作られている。
ならば何故、爪先と心臓はこれほど異なるのだろうか。
答えは「設計書の異なる部分を読んで作られているから」だ。
遺伝子という設計書のどこを読みどこを読まないかは、
文章に付箋をつけたり(読む・読まないの制御/ヒストン修飾)、
字を伏せ字にする(物理的に読めないようにする制御/DNAのアセチル化)作業に例えられる。
本書の表題「エピジェネティクス」は、この遺伝子発現の制御を扱う学問分野である。

植物の春化現象・ある種の疾患・働き蜂と女王蜂の食餌による分化など、
エピジェネティクスが関係する現象・守備範囲は広い。
加えて、この分野の肝は「変化し得る」ことではないかと思う。
すなわち、調べて制御できるようになれば生命をコントロールできるようになるのではないか、ということだ。
しかし本書はこの過度な期待についての警告も鳴らしている。
エピジェネティクスは生命科学において大きな柱になるかもしれないし、
逆にあまり重要ではないという結論に至るかもしれない。
まだ分かっていない部分が大量にある、面白い分野なのである。

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2014年11月07日

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