あらすじ
中学三年生の彗子は両親の離婚後、月に一度、父の代わりに祖父と会っていた。公園でソフトクリームを食べ、海の見える岬まで軽トラを走らせるのがお決まりのコース。そんな一風変わったデートを楽しむ二人だったが、母の再婚を機に会うことをやめることになり……。表題作のほか、元不良と教師、バツイチOLと大学生、園児と保育士など、暖かくも切ない5つのデートを瑞々しく描いた短編集。
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Posted by ブクログ
ドッグシェアが好きだ。
犬の飼育としては最悪だし、地域のルールも守ってないだろうし、おいおいって思ってた。でも本質はそこじゃなくて、足りない2人見えない2人が、ドッグシェアを通してお互いにないものを補い合い、1人では見えなかったものを見せてもらう話だ。学生側の視点は描かれていなかったが、OL同様、いろんな内省があっただろう。そういうところが読めて良かった。
それはそれとして、あらためて言うが犬の飼育としては最悪だし地域のルールも守ってないので、犬好きな人はモヤモヤの方が強く残るかも。
Posted by ブクログ
【おしまいのデート】
複雑な家庭の事情でじいちゃんと会っていた彗子だがそれぞれの家庭ができつつあるために会うことを辞める決断をした。
本当はお互い会いたいと思っているだろうけど、いつもの軽口で流して正直には言わない様子が余計に寂しい気がする。
じいちゃんの新しい家族もいい人だと分かっているし、じいちゃんから見ても彗子に新しい家族ができるのは喜ばしいことだろう。
読んでいてもこの2人が会わなくなるのは切ない気がしたけれど、じいちゃんがまたなって言っていたのも、彗子の新しい家族の弟が思いやりのある優しい子だと分かってホッとした。
【ランクアップ丼】
母子家庭の三好が荒んでいた頃、何も聞かず玉子丼を一緒に食べてくれる上じいに心を開くようになる。
病気を隠して三好との約束を糧に生きようとする上じいと、それを亡くなった後に聞き、娘さんと食べた天丼。
切なくてあったかくて感動した。
これからの三好は自分の過ごした寂しい幼少期とは違う、暖かい家庭を彼女と築けると思う。
【ファーストラブ】
きっとずっと仲良くなりたかったであろう宝田が転校を隠して広田とデートする。
広田も仲良くなれて楽しくて幸せな一日を過ごせたのにあっさりと転校していく事実に納得いかない中、ちゃんと自分の気持ちを伝えられる、とても素直ないい子だと思った。
学生時代の小さな出来事だし、今後会うことももしかしたらないかもしれないけれど、お互いのいい思い出として今後の人生にずっと残ると思う。
☆瀬尾まいこさんの作品は暖かくて好きだー
Posted by ブクログ
おしまいのデート
離婚して別のところで住んでいる父と定期的に会っていたが、再婚を機に祖父と定期的に会うようになり、それももう終わるという話
新しいスタートを感じさせる最後の描写が上手いなと思った。
ランクアップ丼
高校の時に悪さをしてはご飯をご馳走してくれていた先生に就職してから毎月ご飯をご馳走し返していたら、最後を返し終わる前にガンでなくなってしまっていた、という話。
読んでいて最後には胸が詰まった。
人に奢られる時は一番安いものを頼むもの、いただきますで作った人に感謝を述べるなど、親のようにたくさんのことを教えてくれる先生。先生のその心遣いにじーんとしました。
奢ってもらっている間、先生も入院中で、玉子丼の日にはオシャレして病院を抜け出していたことや、宣告されていた余命より生きられたことなど、先生にとっても生きる意味になっていたんだろうなと思いました。
ファーストラブ
同級生の男の子とのデートの話
主人公の素敵なところと、それをわかっている相手のところがよかった。
好きな食べ物を聞いてお米だったからおにぎりをたくさん握ってきてくれるところもキュンとしました。
この後も友情が続いてほしいです。
ドッグシェア
新しい2人のこれからの先の話がとっても読みたくなりました。
デートまでの道のり
保育士さんとバツイチのお父さん、大丈夫なのかな?とハラハラして読みました。
カンちゃんが実は2人を近づけようとしていたのかな?と思いました。
Posted by ブクログ
「デート」を題材に、それぞれの登場人物の想いが交差する短編集。
暖かさと切なさと儚さがゆっくりと綴られる。
食べること、美味しいことは幸せ
玉子丼や中華やビスコ、おにぎりにお弁当、食べたくなるよねえ。