【感想・ネタバレ】光のレビュー

あらすじ

島で暮らす中学生の信之は、同級生の美花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と美花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は美花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮らしている信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、美花を再び守ろうとするが――。渾身の長編小説。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

小さな島を襲った津波ですべてを失い、生き残った3人の子どもたちが、長じて愛し合い、殺し合う。3人ともに壊れてしまって、一見普通に生活をしているようで、計り知れない闇を抱えている。
ラストシーンで生まれ育った島を再び目の当たりにして、主人公はいったい何を思ったのか。いや、何も思わなかったのか…

しかし主人公の妹は不憫すぎる。津波の前、出かける主人公に「あたしも行く」と何気なく言った言葉を聞き入れてあげていれば、生き残ることができたのに。
「また今度ね」「わかった」。素直に聞き入れた言葉が可哀想過ぎる…。
「わかった」。この言葉、辛いなあ…。

そして父となった主人公の娘も、夫婦のすれ違いの中でただ泣いている。
やっぱり小さい子たちが辛い目にあう状況は、胸に痛い…

0
2024年11月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いやぁ、参った…すごい、すごすぎる…
物語はずっと不穏な空気に包まれ、
圧倒的な理不尽や現実がドロドロ重くのしかかってくる
救いはないし、ずっと脳天を殴られ続けてるのに
読むのをやめられない、この感じ!
先がもっと知りたい。
作品に呑み込まれいくのを感じました。
もちろん読後のすっきり感もないし
によっては二度とない読みたくないような
暗くて重い作品かもしれないけど、
私は愛に縋って縋って、それがエゴだと気付かず
ひとりよがりに狂っていく信之も輔も愛おしく感じた。

"死ぬことでしか、ひとは秘密から逃れられない。"
最後の最後、
秘密を手に入れた南海子の思惑の恐ろしさと、
なにくわぬ顔をしていつも通り過ごす信之の
静かで暴力的な魂といったら…ゾクゾクしました
しをんさんの文章がとても好きです。
終わり方が想像力を掻き立てられて堪りません。

今まで読んだ小説で1番脳汁出た作品かも。

0
2024年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトル〈闇〉にしなくて大丈夫ですか。 俺に言わせりゃ救いが無い。 主人公の狙いは、罪の報いとはいえ果たされず、主人公に執着していた弟分は糞みたいな人生の末に死んでしまった。 「あの島に、あの親の元に生まれた時点で詰みじゃね」って言葉で片付けてしまいそうになる。

0
2025年09月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今までの作風とは違ってかなりシリアス。
読後、どんよりと重たい空気に包まれ、あ〜不幸だ....
でもさすがにしっかりと読まさせてくれる。

0
2025年09月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

光なんてどこにもない物語だった!
与えられた暴力は日常に潜み、密かにこちらを狙い、知らぬ間に表出する。この作品の暴力性の始まりである島一面に咲いた椿という花を名付けられた子どもは、将来どうなってしまうのだろう。途中で発生する椿に襲いかかった悲劇も、「暴力はめぐる」というテーマの底気味悪さがじっとりと染み付いてた。

0
2025年07月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

三浦しをんにしては珍しい性的描写、非日常的なストーリーに普段よりハラハラされられた。
ただやはり情景描写、感情描写の解像度が高く食い入るように読み進めてしまった。
求めるものに求められず、求めぬものに求められる、最大の不幸であってよくある出来事。それを軸に壮大なストーリーが展開され殺人など非日常な題材の中で自分の日常と重なる部分が多くあり考えさせられる作品だった。

0
2025年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この人こんなのもかけたのか…という小説。

津波に始まり強姦、暴力、殺人など人間の暴力に目を向けた作品。
吉田篤彦の解説が面白かった。
光なんてなかった。

0
2024年09月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

つれぇ。椿ちゃんが一番可哀想で辛い。
作者の趣味を知ってるせいか、結局信之が一番人間的な感情で好きだったの輔じゃん、と思えてならなかった。
椿ちゃんが居なければ、信之の罪が暴かれて逮捕されたら良いじゃないか、と言うところだが、椿ちゃんが居るので、せめて彼女が救われて成長できるまで信之が逃げ延びてくれたら良いなと思った。

0
2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

軽快で明るく、ひたむきな作品の印象がある三浦しをんさんが、こういう小説も書くのかと少し驚いた。けれども確かに、小説やエッセイにおいて、心情の核のようなものを常にまっすぐ捉えているしをんさん
だから、われわれ人間の裡にぽっかり空いた空虚な闇も、こうして静かな視線で見つめているのかとも思う。
正直言って、この作品の登場人物すべてが嫌いだ。私が言えた義理じゃないけど、どの愛もすべて身勝手で歪んでいる。信之の美花への、輔の信之への、偏執的なそれは、かつて津波という「暴力」で大切なものを損なわれた代償なのか。
いや、一番気持ちの悪いのは信之の妻の、津波とは何の関わりもない南海子だ。夫からかけらほども愛されていなかったことに気づいた後も、世間的な体裁を取り繕うことに腐心し、夫の罪に気づきながらも、なにごともなかったかのように元通りの毎日を送ることを選ぶ。彼女を歪めたのは何だろう。日常という、圧倒的な現実だろうか。だとしたら、日常も時に暴力に匹敵する理不尽な現象なのだろうか。自然災害や犯罪行為、果ては家庭内で振るわれる暴力をすべて内包して、日常は存在する。私たちはその日常をどうにか生きていかなければならないのだ。
「美浜島は、暴力の痕跡を内包したまま、禍々しいまでの生命力で海のうえに再生していた。〜暴力はやってくるのではなく、帰ってくるのだ。自らを生みだした場所―日常のなかへ。」p362

タイトルの「光」の意味を考える。
解説の中で吉田篤弘氏が「光」を「神」と解釈している。
希望、とは読めない。
何らかの審判やメッセージなどなく、ただ照らし出すもの、というイメージがある。光を受けた分だけ、その暗さを深めていく場所もある気がして不安になる。

0
2025年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・こんな陰鬱な話の後に『舟を編む』を書いたのかよ……と信じられない気持ちになった。隠しておきたい過去を巡って、ねじくれた愛(というより執着?)に狂わされた人々の話だった。うーん。時間がなく、しかし面白くて早足で猛然と読んだ割に、なんだか項垂れてしまって何を思えばいいのかわからない。
・まず、東日本大震災の前に全てを薙ぎ倒す津波のイメージを持てていたことがすごいなと思った。それが現実に起こるのだということが一番残酷に思えるけど。
・美花は俺だけのものだと思っていたのは信之だけだったんだろうなあ。島にいた時から他にもそういうことはたくさんあったんだろうな、と思った。山中のこともそのうちの一つに過ぎないというかね。全然、"過ぎない"で済ませられることではないんだけど。知らぬ間に美花の反応が良くなっていると思いきや「あの日から何も感じないの」との美花の発言により、上手な演技を覚えただけであることが示唆されたのは地味に痛快だった。
・秘密を巡る暴力の連鎖。人間ってこんな嫌なやつばっかり?あたしもここに放り込まれたらそんな風になっちゃうのかな。でもそんな気もする。南海子のバカ高いプライドが妙に怖くもあった。しかし団地と幼稚園とお教室が生活の全てなのでそこから受ける眼差しを異様に気にするのは当然のことなんだろう。
・たぶん、輔は色々と気づいた上で、信之に殺されてもいいやって思うくらい信之に構って欲しかったんだろうね。どんな女と寝るよりも、信之に構ってもらえない1人の暮らしよりも信之が殺した人間として人生に刻みつけられることを選んだんだな。とんだヤンデレ妹ならぬヤンデレ幼馴染である。かわいいやつだね〜。
・ていうか、まあみんな本当のことは分かりつつうっすら目を逸らしてて、やっぱそうか〜……みたいになってた感じがする。なんか、大きな力に全てを薙ぎ倒された経験をすると、本当に空っぽになっちゃうんだろうな。「家族を愛したい」と思っているのにイマイチ身体も心もついてこない感じの信之が可哀想だなと思った。美花にも拒絶されたらもうあとの人生、消化試合だろう。自分ならいつか失望して自ら死ぬと思う。その不幸を味わわずに死ねますように、私は狂わずに長生きして安寧に死ねますように、って最悪なことを思った。

0
2024年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

借り物。作者のイメージがガラッと変わった。

天災ですべてを失った中学生の信之。共に生き残った幼なじみの美花のため、彼はある行動をとる。それから二十年後、信之の前に、秘密を知るもう一人の生き残り・輔が現れ──。

0
2024年09月19日

「小説」ランキング