【感想・ネタバレ】不可触民と現代インドのレビュー

あらすじ

何千年もの間、インド人の約85%の民衆が低カースト民として奴隷扱いされてきた。今、その民衆が目覚め始めた――。大国・インドで何が起こっているのか。現場からの迫真の書。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

この本が出版されたのが2003年。

16年とちょっと経った今、SDGsという国際目標が広まる中でインドはどう変わったのか読み終えた今は気になってます。

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2020年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本人には理解できないインドのカースト制度。不可触民とはなんなのか、なぜヒンドゥー教なのか、踏み込んでいく。

 バラモンが独占したもの、それは富や権力よりも「知」である。人がなぜ「知」を求めなければいけないか。インドから学べる。


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p19 権力者は己の正体を暴かれるのが怖い
 真実が暴かれれば支配者はその存在が危ぶまれる。ヒンドゥー教のバラモン階級はまさにそれだ。
 異民族が支配に利用した宗教がヒンドゥー教であることを明るみに出せないのだ。

p19 ビームラート=アンベードカル
 バラモンの正体を見破り、公然と彼かの権威と偽善性に挑戦した不可触民の指導者。
 こんな人知らなかった。ガンジー・ネルーと並ぶインドの偉人である。

p44 浄・不浄
 ヒンドゥー教は「浄・不浄」の観念で、人間だけでなく自然やすべてを差別する宗教である。

p45 インドのトイレ
 インドのトイレは便器でない。外で排泄用のツボに用を足す。都心の外国人のいるような土地では水洗設備もあるが、田舎ではトイレがないのがふつうである。
 この糞壺を回収するのが不可触民である。

p57 ヒンドゥー教VSイスラム教
 東パキスタンでは元来宗教対立はなかった。しかし、イギリスからの独立後の分断で宗教対立が意図的に起こされ、大虐殺や原爆所持にまで至る対立になってしまった。

p63 政府の嘘
 インドの人口85%がヒンドゥー教であるという政府発表があるが、それは支配階級が自分たちの特権が脅かされないように発表しているプロパガンダであり、仏教・イスラム教・キリスト教に改宗する者が増えている。2,30年もすればヒンドゥー教はマイノリティになるかもしれない。

p66 イギリス人の罪
 インドにカースト意識を甦らせたのはむしろイギリス人だった。イギリス人が導入した郵便制度が村落の各人の姓名を明らかにし、人々のカースト意識を意識させるようになった。
 
p69 ガンジーとヒンドゥー教
 ガンジーはインドの独立はカースト制度の中で行われるべきと考えた。カーストはインドの自然な状態であり、それが人々に生きる意味を絶えず与え、幸せをもたらす。と考えていた。
 ちなみにガンジーはヴァイシャ(商人)階級出身である。ガンジーはヒンドゥー教支配階級の絶大な支持を受けたし、ガンジーが独立の父として強烈な存在になるようになった。
 後年カースト制度に反対するようになった。

p87 先住民
 不可触民は自分たちのことをダリットと呼ぶ。彼らはアーリア人がインドに侵入してくる以前から住んでいた先住民である。
 ブラーミンの広めたヒンドゥー教以前は、ダリットは仏教かジャイナ教だった。
 カーストはバラモンたちが作ったもので、不可触民たちから知識や知的能力を奪い取り、正しい判断力や価値観を根絶やしにした。バラモン階級は知識を独占した。
 知識を独占されると、こういう格差社会が出来上がるのだ。だから、教育はすべての人間に与えられなければいけない。

p104 侵略
 アーリヤ人は鉄製武器と騎馬を用いて一気にインドを侵略した。アーリア人が徐々に移動してきて土着したという研究もあるが、政治的圧力の気配がしてならない。
 完全にヨーロッパ系のアーリア人は侵略者で、その支配と差別政策がいまだにインドでは残っているのである。

p109 悟の不要
 ”不可触民の父”アンガードベルには悟りがない。本当に必要なのは、自由・平等・友愛だから。それなくして悟りなんてない。周りの人間の不幸を無視して一人だけ悟りを開くのは真実ではない。周りの人間の幸福を実現して悟りの境地を開くのが真実である。

p155 ヒンドゥー教
 アンガードベルの演説「ヒンドゥー教の神は人間から自由を奪い、バラモンに隷従することしか教えない。」
 
p188 女
 インドは男性優越社会の最大国である。女性は男性よりも地位が低く、不可触民の男性でもさらに差別する存在である。それ故におそろしいDVが絶えない。

p221 インドとイスラム
 インドはイスラム国家の石油資源が無ければ成り立たない。イスラム諸国もインドの安価で膨大な労働力が無ければ成り立たない。
 パキスタンの問題で両国は仲が悪いように思えるが、それは間違いで、両国家の宗教原理主義者が扇動しているだけである。

p231 ヒンドゥー教の定義
 ヒンドゥー教を定義できる者はいない。聖書のようなものがないからである。ただ、聖書がないから、バラモンが自分たちで解釈を独占して、良いように解釈を変えてきたからである。
 
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 内容はすごいが、話がまとまっていない感はすごいある。その点は減点だと思う。

 インドを語るうえでやっぱり大事なのは、カーストだよね。

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2014年12月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[ 内容 ]
今日まで続く、厳しい身分制度であるカースト制はなぜ三千年にもわたり保たれてきたのか―。
かくも長く、圧倒的多数の民衆が“奴隷化”されてきたのはなぜか―。
仏教発祥の地で仏教が抹殺されたのはなぜか―。
今、“歴史的真実”の扉が開かれ、塗り替えられようとしている。
大国・インドで何が起こっているのか。
現場からの迫真の書。

[ 目次 ]
第1章 この国の本当の主人公は誰か
第2章 目覚める人びと
第3章 インド史上最大の謎を解明する
第4章 仏教の白い花
第5章 インドは世界の有望な市場か?
第6章 インド史上初、不可触民出身の“女帝”州首相
第7章 暗黒時代の再来

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[ おすすめ度 ]

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[ 参考となる書評 ]

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2011年04月07日

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