あらすじ
現代の組織が陥っている閉塞感、不条理を回避し、組織を進化させるのは「良い命令違反」であることを、太平洋戦争における旧日本軍の指導者の行動分析をもとに解き明かす。
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Posted by ブクログ
確かに例が長めだけれど、内容的にも分析の切り口が面白いし、とても納得感のある分析結果だった。確かにおすすめ。軽めなのでさくっと読める。
上海出張でたまたま出会ったIさんから薦められた本で、アジャイル開発におけるチームビルディングの考え方の論拠になる、という形での推薦だったけど、それもさることながら、システムズアプローチのシステム思考の哲学や場作りの論旨などに近いものを感じて、ちょっとしたアハ体験をした。
自分の理解では、全体として題のとおり組織論が論旨にあり、効率と利益の2軸について人間は完全合理性ではなく、限定合理性を持つ不完全なものであるという前提をもって「行動経済学」と「法の経済」の論理を用いて分析する構成になっている。ただ分析の結果、「ではどうやって命令違反をするのか?」の論述が弱いように感じた。なので星4つ。
たとえば、組織として効率的ではない命令に対して効率性のある判断をした部下は、組織倫理的な正当性(つまり命令に従うこと)に従事するのではなく、命令違反をして効率性のある判断に従って行動することが必要という点と、そのためにそのような行動を起こすためのマネジメントや人間関係の構築のあり方は語られている(このあたりの論述にもシステム思考との一致性が見られる)が、どうやって「効率性」のある判断をするか、またそれが組織的に効率的かどうかを判断するのか、といった点はあまり深く触れられていないと感じた。
おそらく、システム思考を引用すればメタ思考によって視点を引き上げることで組織として効率性とはどのようなものかを考え、最適解を模索するということが必要であり、さらにそれが効率的かどうかを判断するためにデザイン思考的にプロトタイピカルなサイクルを実践することが必要だと考えられる。(ざっくり)
本書では批判的議論と暫定的組織の節でプロトなサイクルの必要性には軽く触れられている。