【感想・ネタバレ】瓶詰の地獄のレビュー

あらすじ

海難事故により遭難し、南国の小島に流れ着いた可愛らしい二人の兄妹。彼らがどれほど恐ろしい地獄で生きねばならなかったのか。読者を幻魔境へと誘い込む、夢野ワールド7編。
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Posted by ブクログ

ネタバレ

「瓶詰め地獄」
いくつかの解釈を拝見しましたが、個人的には瓶の順番は2→3→1なのではないかと思いました、地獄ですね。ただ鉛筆が短くなってから書かれたものにしては1は少々長すぎますが…。
人に薦められる作品ではありませんが、僕はとても好きです。

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2022年12月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夢野久作の幻魔的世界へ!

何回読んだか知れない大傑作『瓶詰の地獄』に始まって、ちょっとゾクッとする『人の顔』を挟み、『死後の恋』後半の圧倒的衝撃と描写力に恍惚と震え上がり、『支那米の袋』でのeroguronansensuに目を離せなくなり、そのまま『鉄槌』を読んでチョット感傷的になったかと思えば、『ドグラ・マグラ』の香りが漂う『一足お先に』と『冗談に殺す』の事件ものがあり、締めは中井英夫の解説……と、これだけで分かる圧倒的充実感! それと、私の角川の本は装丁のイラストが米倉斉加年版なので、雰囲気もバッチリなんですよねェ。たまりませんわ。

収録作の中で好きなのはヤッパリ『瓶詰の地獄』、『死後の恋』、『支那米の袋』かなァ。でも、個人的には、どこまでも続く謎を残す『瓶詰の地獄』と『死後の恋』が飛び抜けて好きです。

『瓶詰の地獄』★5
何回読んだか知れない、個人的には大傑作。あっという間に読み終わるのに、残るものが多すぎて考察が捗る作品。丸尾版コミカライズも読んだけれど、やっぱり原作の煌々とした禍々しさがクセになって戻ってきます。

『人の顔』★4
ゾクッとする短編。おぼつかない口調で恐ろしいことを話し出すチエ子が好きすぎて……。幼いながらも持ち合わせる不気味な魅力と育ての良さがチエ子の会話の節々に見られて、読んでいて虜になる作品。

『死後の恋』★5
これは文句なしの傑作だと思います。初読は前半部分の複雑さというか言い回しがしっくりこなくて進みが遅くなりますが、後半の圧倒的衝撃と描写力には恍惚と震え上がり、そこからはもうこの作品の虜です。夢野久作の複雑怪奇な話の展開とグロデスクな描写が見事にこの作品には収斂されていると思いました。最高!

『支那米の袋』★5
これぞ夢野久作文学の真骨頂! 幻想的な雰囲気の作品と言うよりは『いなか、の、じけん』を彷彿とするような粗野で下劣、ナンセンスな事件の被害者の話ですが、その生々しさと、夢野久作が生涯言っていた「人間の闇」的な部分も垣間見ることができて、個人的にはとても満足の一作です。すべての遊びに飽き飽きて「ステキな遊び」を語るワーニャさん、ものすごく蠱惑的です…

『鉄槌』★4
『なんでもない』で有名な姫草ユリコなど、夢野久作の作品に登場する魅力的な女性像をこの作品にもまた感じますね。マゾヒズムの趣があったり、本文中に「悪魔」と多用されていることからも、安直ながら、そのまま『悪魔』と題のついた谷崎潤一郎の作品を彷彿とさせます。愛太郎が伊奈子に向ける複雑な感情はまた、夢野久作作品には珍しい儚さを感じますね。

『一足お先に』★4
イヤハヤこれは夢か現か・・・・・私とは一体何者なのか・・・・・・・。病院、妹、殺人、不気味な赤ん坊の描写、忘れていた記憶・・・・・・・夢野久作の作品の中で牙城の如く聳える『ドグラ・マグラ』の血腥い臭いが漂う、病院の中で起こった奇妙な体験ですね。完璧な世界観でタイトルの『一足お先に』が秀逸なのはともかく、これは怖い! 特に最後の妹と青木の会話に主人公が全く加わらず、「・・・・・・・」と続くともう!


『冗談に殺す』★3
この作品はやはり冒頭、活劇女優が主人公に見せる残虐な遊戯の描写力と、彼女の心理をうかがわせる明晰な描写に光るものがあると思います。『空を飛ぶパラソル』などに代表される夢野久作の残虐な構成力を堪能できる一作です。

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2022年01月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

以前読んだ『ドグラ・マグラ』が面白かったので、読んでみた。こちらは短編集。独特の不気味さ、気持ち悪さ、猟奇、エログロみたいな雰囲気があって、『ドグラ・マグラ』と似ている。こんなに気持ち悪いのに、引き込まれるものがある。重たくて、怖くて、読むのに精神力がいる。

解釈が難しかったり、色んな"仕込み"がある。一作品読んで、ネットでレビューを見て・・・という感じで作品の世界観を楽しんだ。

全部で7作品あるが、どれも味わいがあって、気持ち悪い。全作品のレビューを書く気力がないので、4つだけ。
「瓶詰の地獄」と「支那米の袋」が特に印象に残った。
そのうちまた読みたいな。

<瓶詰の地獄>
・無人島に漂着した兄妹の書いた、瓶に詰めた3つの手紙。作品は、この3つの手紙で構成される。夢野久作の作品では、この"書簡体形式"が特徴的だとか。
・11歳の兄と7歳の妹は、10年以上、無人島での生活を続ける。島は自然豊か、食料は豊富にあり、楽園のよう。
・読み進めるうちに、"地獄"が何かがわかってくる。ゾッとする。
・3つの手紙がどの順で書かれたかで、異なる解釈ができる。こんな仕掛けを、こんな短編に仕込めるとは・・・。

<人の顔>
・シミュラクラ現象、パレイドリア現象。
 日常でも、雲の形や壁のコンセントなんかが人の顔に見えてくることはある。それを考えれば、チエ子の言動も無邪気なものに思える。それなのに、作品から感じられる奇妙さは何だろう?
・母親がチエ子に飲ませたのは睡眠薬か?不倫相手との情事を悟られないため?

<死後の恋>
・何というか、エログロ猟奇の気持ち悪い話。死体と宝石の描写が印象的。でも、ちょっときつい。
・語り手が一方的に語る"独白体形式"。『ドグラ・マグラ』と似てる。他者が登場しないので、語り手が精神に異常をきたしているんじゃないかという気になってくる。
・なぜあんな殺され方をされたんだろう?語り手の話は本当なのか?そんなことが気になって、読み直したくなる。気持ち悪いのに。

<支那米の袋>
・ロシア人のワーニャが日本の青年軍人に一方的に話す"独白体形式"。
・ワーニャが話すのは、
  - 可愛いから殺してしまいたい
  - 恋仲になっていたアメリカ人ヤングのこと
  - 彼から教えてもらった"遊び"(それは日本にもある)
  - 支那米の袋に隠れて乗った軍艦での恐ろしい出来事
・こういった話からラストでの伏線回収がすごかった。殺したいだけでなく、死にたかった。

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読んでから気付いたが、どの作品も青空文庫で無料で読めるらしい・・・。

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2019年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

少女地獄(角川文庫)よりも狂気じみている話が多かった。

『支那米の袋』
袋の中に閉じ込められている様が読んでいて息苦しくなる。
好き過ぎて殺したい…。

『一足お先に』
病室内で放尿し、夫人の服を剥ぎ取り、ハサミを腹に突き刺し…青白い光に照らされる狂った様子がなんとも恐ろしい。

『死後の恋』、『冗談に殺す』が特に好き。

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2025年01月21日

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