あらすじ
メジャーリーグの「いい話」51連発!
最強球団の経営は「戦略」と「ストーリー」のお手本である。
ヤンキースがユニフォームに選手名を入れない理由を聞いた時、ヤンキースの球団経営の根底に流れる「鉄の掟」を知りました。
ヤンキースでは、選手だけでなく球団職員もヤンキースの一員としての誇りを胸に常に最高の顧客サービスを目指し、職務を遂行しています。
一緒に仕事をしてみれば、他球団との意識の違いは一目瞭然です。
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Posted by ブクログ
タイトルからするとヤンキースの歴史を語る本かと思っていたのだが、中身はヤンキースを始めとする米メジャーリーグのビジネスの話をまとめたものである。著者は米国事情に通じた野球ビジネスのコンサルタントで、米国でスポーツ経営学修士号を取得。その後スポーツマネジメント会社を立ち上げて日本のスポーツビジネスの発展にかかわっているという。
本書の中で紹介されているのは、ヤンキース、レッドソックス、ドジャース、マリナーズといった比較的お金を持っている球団。レッドソックスの中核会社のFSGは球団とスタジアムの運営だけではなく、NASCARやリバプールを買収してビジネスの領域を拡げている。各球団は現在ビジネスの最大化を目指して各スタジアムの戦略をまとめている。特にメジャーリーグの各球団では観客動員数が増えない中で、平均売上高を20年間で6倍に伸ばしている。その中でもスタジアムビジネスは工夫もあり好調で、野球「も」楽しめるようにした新しいスタジアムの建設が続いている。ボルチモアのカムデンヤーズ(女性が球場設計)、メッツのシティ・フィールド (シェイ・スタジアムじゃなくなったのか...)
さらには、メジャーリーグ、マイナーリーグ、独立リーグと言った下位組織のしたたかなビジネス戦略も紹介される。MLBのネットビジネスの進出も目覚ましい。すでに2000年にMLBAMというネット専門の会社を設立しており、年率30%のペースで成長して、年商が7憶ドルにもなるという。中でもMLB.tvは4億ドルも収益を上げているとのこと。MLB.tvの有料加入者が50万人、モバイルアプリのMLB At Batは330万ダウンロードを超えているとのこと。また、マイナーリーグも日本と比較して各段に広い裾野を持ってビジネス化できるようになっていて、多くの選手の受け入れ先になっている。独立リーグもそれぞれ特徴があって、ビジネスとして成立しているという。中でもロングアイランド・ダックスやセントポール・セインツという成功で有名な独立リーグの球団が紹介されている。日本でも四国などに独立リーグができたが、目指すところはこういうところなのかもしれない。
ちなみに、タイトルの「ヤンキースのユニフォームになぜ選手の名前がないのか」は、「選手の存在が球団を超えることはない」というヤンキースの球団哲学の現れだという。伝統の球団という自負だということか。
多くのスタジアムがトータルエンターテイメントに向けて舵を切る中で、新しいヤンキースタジアムは純粋に野球を楽しんでもらうことに注力をしているという。また、ヤンキースタジアムに行きたくなってきた (前のスタジアムは何回か行ったけど、新しいのはまだ行ってない)。