あらすじ
日々の暮らしに欠かせない天気予報。明治期に、この予測をより正確なものにするべく命を懸けた夫妻がいた。野中到(いたる)・千代子夫妻――到は私財を投じて富士山頂に気象観測所をたて、前人未到の冬期観測を実施。「一人であれば、夫は必ず死ぬであろう」と考えた千代子は、夫を支えるため後を追って山頂に登るが……。世界遺産に登録された霊峰・富士山を舞台に、日本の未来のために初めて富士登山に挑んだ、実在の夫婦の感動物語! 2014年7月26日からNHK総合で連続ドラマ化(全6回)。
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Posted by ブクログ
R5.3.5~3.11
(きっかけ)
・好きな作家
・富士山測候所について知りたくて
・古本屋で100円
(感想)
新田次郎さんの八甲田山死の彷徨を読んでいたので「壮絶な山岳小説」はよくわかっているつもりでしたが、別の角度からの「壮絶」がここにありました。
到の決意の深さと千代子の夫への情熱、目的のためなら「死」を厭わない二人のようすがよく描かれており、心身を崩す二人の心に引き込まれて、読んでいて少々気分が悪くなるほどです。
二人は生きて地上を踏めるのか、最後の一ページまでドキドキの1冊でした。
補足:ページ構成は、1冊のうち半分が登山準備編、少しだけ登山、残りの半分が富士観測編です。
Posted by ブクログ
♪~芙蓉の雪の精を取とり 芳野の花の華を奪い 清き心の益良雄が 剣と筆とをとり持ちて 一たび起たば何事か 人生の偉業成らざらん~♪ 新田次郎「芙蓉の人」、2014.6新装版文庫、1975.5刊行。読み応えがありました。そして深い感動を覚えました。富士山の頂上での気象観測に命をかけた野中到、そして、その夫を支えるために富士山に登り、観測を共にした妻、千代子の物語。二人にまかせっきりの気象台幹部の情けなさには憤りを。野中夫妻に感謝の気持ちでいっぱいです。
Posted by ブクログ
私費を投じて気象観測の道を切り開いた男と、支えた女。粗筋を知っていたが、明治の夫婦の並なみならぬ覚悟に胸うたれる。しかし、現代ならばマスコミやネットで…と思わないでもない。凄まじい冬山の猛威に挑み、夢半ばで倒れた無念さに涙溢れる。