あらすじ
低迷に喘ぎ、売却が決定した名門球団<スターズ>。本拠地でのシーズン最終戦、プロ初先発のルーキー有原秀は、ノーヒットノーランのまま9回を迎えた。スターズのリードは1点。快挙達成へのアウト3つを奪うため、ルーキーが綱渡りで投じる20球を巡り、両軍選手や監督ほか関係者の思惑を1球ごとに、語り手を替えて濃密に描き出す。ノーヒットノーランなるか? 20球を巡る20のドラマ、堂場野球小説の真骨頂!
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Posted by ブクログ
江夏の21球、野球ファンなら知らない人は少ないはずのこのドキュメント。あれは映像だったけど、あの緊迫感を小説にしたらどうなるか・・・って感じの小説である。
日本一や優勝がかかった試合ではないものの、ノーヒットノーランがかかった最終回の20球をピッチャー、キャッチャー、監督、野手、相手チームはもとより、観客、解説者、ビール売りから近所の中華屋の親父に至るまで様々な目線で追いかける。
その構成を知ったとき「こりゃすげーぞ、是非読んでみたい」と思い手に取ったのだけど・・・、うーんこのギクシャクして読みにくい展開はなんだ?、リズムに乗り切れないストーリー展開はなんだ?、手に握ってる汗の違和感はなんだ?
同じスターズを舞台にした「焔」や「ラストダンス」とは全然違って、スカっと感がないなぁと思ったんだけど、実はそれも仕掛けなんじゃないかなと分かった。衰えの目立つ名門球団にドラフト6位で入った高校ルーキーの初先発ノーヒットノーラン、それもノーコンでビビり。そんな試合を見ているリアル感を、ギクシャクだったりスカっとしなかったりで表現しようとしているってことなんかなと。
せやけど、緊張感のないギクシャクした試合なんて、阪神の試合おっかけたらイヤになるくらいあるわけで、せめて小説ではそんなオモロない気持ちになりたくないと思う俺にはちょっと苦手な小説だった。
それによーく考えたら、20球で1冊って小説では稀有かも知れんけど、巨人の星でもドカベンでも野球漫画ならもっと冗長な展開はザラにあったわなぁ。
Posted by ブクログ
プロ初先発の19歳ルーキー有原のノーヒットノーラン達成間近、そして身売りが決まったチームのシーズン最終ゲーム、最後の20球をめぐる20のストーリー。
1球1球、視点を変え、交差する思いが語られていきます。
低迷が続いた名門チームの選手、監督、コーチ、そしてファン。
コントロールが定まらない気弱なマウンドの有原。
この有原のイライラさせるような性格とピッチングがこの本の味噌ですね(笑)
じれったいのに、何かを感じさせる彼のピッチングに、期待と言うより重々しい緊張感がずっと漂っています。
さぁ、果たして最後の一球まで耐え抜くことができるのか!?