【感想・ネタバレ】ガーデン・ロストのレビュー

あらすじ

誰にでも、失いたくない楽園がある。息苦しいほどに幸せな安住の地。しかしだからこそ、それを失う痛みは耐え難いほどに切ない。 誰にでも優しいお人好しのエカ、漫画のキャラや俳優をダーリンと呼ぶマル、男装が似合いそうなオズ、毒舌家でどこか大人びているシバ。花園に生きる女子高生4人が過ごす青春のリアルな一瞬を、四季の移り変わりとともに鮮やかに切り取っていく。壊れやすく繊細な少女たちが、楽園に見るものは――。 『ミミズクと夜の王』 の紅玉いづきが挑む、初の現代小説

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Posted by ブクログ

ネタバレ

いつものことだけれども、いづきさんのお話は心が揺り動かされる。
エカちの物語から始まり、シバの物語で終わる彼女たちのお話は、きっといつまでだって苦しく辛く、そしてあたたかく続いていくのだと思う。
エカちの夢を見ていたい気持ちは身が切られるほどに心に染みた。優しくしたいんじゃなくて、自分が優しく在りたい、誰かを許す自分を守りたいだけ。

恋人が欲しいわけじゃない、だけれども誰かを好きになってみたい。簡単に人のことを信じて好きになれる友だちが羨ましくてたまらないエカち。
自分を犠牲にしてまでも愛されている感覚が欲しいくせに、誰にも頼らなくても生きていける友だちがずるくてたまらないマル。
小さなころのトラウマで女になりきることが出来ないくせに、男でいたいわけでもない。まっすぐにやるべきことがある友だちみたいになりたいのに、なれるわけないと諦めているオズ。
自分の好きなことがなくてずっと誰かの言いなりで、そんなふうでありたくは無いのにそれをとったら何も残らないと知っているからそれをやめることすら出来なくて、周りの優しさも愛情もすべてがうとましいシバ。
アイデンティティが確立するかしないかの、あの揺らぎのような時代がたしかに思い出されて、息が詰まった。
やっぱりわたしはいづきさんの描写がとても好きです。

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2024年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

高校生のときはどうして高校という舞台が特別なものとして扱われるのかわからなかった。
どこか閉じていて、息を潜めて他人を伺って、何に反抗したいのかわからないまま反抗して、自分を特別に思いたくて、そんな高校という場所が物語の舞台になるほどいい所だと思えなかった。
この本を読んで、高校生じゃない今、やっと高校・高校生の魅力がわかった気がする。
苦しいんだけど、その苦しみが愛しいなと思った。ああ青春だなあという感じ。
なんだかじんわり染み込んでくる物語でした。時間をおいてまた読み返したい。

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2013年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

わたしたちはそこにいた。

お人好しのエカ、かわいいマル、演劇部の王子様なオズ、大人びているシバの4人は時に傷つけあい、許しあい、日々を過ごしている。高校3年生の1年を視点を交代しながら描く。

高校生というのはすべてを許された花園にいるようなものだ。この物語の時代では携帯電話が普及していないのも、花園の閉鎖性に輪をかけている。世間の価値観は知っていても、それより自分が生き延びることを優先してよい場所。その人のためにならないと知りながら誰かを甘やかすことも許される。友情の中でももっと濃密な愛情。しかし厳しく断罪することもまた大切な存在への愛情である。4人は自分の犯した罪に向き合い、自分を傷つけながらも、誰かに許される。それを馴れ合いだというなら、その人は花園にいたことがなかったのだろう。花園は最後の子ども時代だ。

意外と内面や悩みは共有していない、でも手を繋いで慰めあえる。そういうところが女子高生をしたことある者としてリアルに感じた。

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女子高生仲良し4人組。
同じ「放送部」に所属してるが、実質稼働2名。
4章から成る。

誰にでも優しくいたい、エカ。
彼氏に理想像を当てはめようとする、マル。
男装が似合うであろう、オズ。
大人びて見える、シバ。

春夏秋冬を巡りながら、二度と戻らない女子高生時代。
その永遠の一時。
未完成な自分をどう受け入れていくか。

閉塞感を持ちながら、自分を保つ。
傷が付かないように、なんとか綱渡り状態の精神状態。
夢見てた自分、壊れていく自分。
その先で、友達として「このまま最後にしたくない」と説に望む彼女達。

切なく揺らぐ物語。

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2025年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

高校生の少女4人それぞれの視点で語られるどこか歪な思春期の物語。
登場人物たちそれぞれが、他人から見ると取るに足らないことに固執し悩み傷つけあっていく。それでも人とのつながりを求めてあがくさまは、誰もがみな少なからず経験しているのではないか。
読みながらみんな若いなぁと感じるとともに、自分自身が年をとってきたことも強く感じた。

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2012年11月17日

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