【感想・ネタバレ】成熟日本への進路 ――「成長論」から「分配論」へのレビュー

あらすじ

日本はこれからどの方向に進んでいくのか。政治は迷走し、国民は困惑している。既に成熟フェーズに入った日本は必然的に国家ヴィジョンを差し替えなければならない。そして、経済政策や政治の仕組みを再構築しなければ、社会は一層暗く沈滞していくだけである。国民が「自分は幸せだ」と思える社会の姿と、そうした社会を目指す政策、およびその政策を実行するための戦略と新しい社会のしくみを明快に示す。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「バカにできない精神論」
『成熟日本への進路』読み終わり[1月9冊目]

お勧めいただいた本。

日本に競争力がないのは、

産業構造をシフトさせられないから。

その理由は、

チャレンジが失敗した時の恐れだと考えてる筆者は、

最低限の所得を保障することで、

新分野へのチャレンジも、起業も積極的になるのではないかという。

色々思うところはあるけど、とりあえず。


最後は精神論になるのは仕方ない。

再チャレンジのために、

「給料ゼロでも、生活できるようにお金あげます!」と言われても、

再チャレンジの意思がなくてはただの"ヒモ"量産機になり下がる。

それに、企業の重役さんとか、もしいまの生活水準が高かったら、

その生活を投げうってまで挑戦したいという気持ちが出てくるかはわからない。

本当、最後は、自らの信念と、名誉欲に賭けるしかない。

精神論とか言われてバカにされるけど、

社会保障見たいな物はいろんな面からみられる分、

特定の面から見てほしかったら、精神論しかない。

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2013年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

成熟フェーズに入った社会においては強引に経済成長を促進するために公共事業を繰り出すのは老人に霜降りステーキを無理やり食べさせるようなもの。いまさら背が伸びたり筋肉がついたりはしない。1990年代後半から明らかにGDPはゼロ成長。成熟化フェーズに入ったといってよい。一人あたりGDPについては1995年、日本が先進国の中でダントツのトップであったのが1995年以降まったく振るわず、現在は米独英仏すべてに抜かれてしまった。麻生内閣が行った75兆円という大判振る舞いによって日本が経済成長路線に乗れたかというと今も後遺症の真っ只中。結局は経済成長を目的にした政策を実行しても産業構造のバランスを崩し財政赤字ばかりを積み上げるだけであった。最大の失敗は、経済成長を促進する役割を果たしてきた土木建設業が経済を支援する機能を喪失したにもかかわらず90年代以降も経済政策の中での主役の座を降りなかったことである。コンクリートからヒトへはその意味で完全に正しい。但し、効果のない経済政策をとるくらいであれば、成長戦略はいらないとした方がまだましである。これからは成熟化社会を認識したうえで、外貨を稼ぐ国際競争力をもつ高付加価値型輸出産業の育成することが肝要である。外貨を稼げる産業としてはハイテク型環境関連が本命である。他方、成熟化社会の主力産業となりうる内需産業として医療介護産業も育成する。内需型産業は輸出産業にくらべ需要が安定しており、大量の雇用を創出する。平成2年から始まった日本の好景気は企業の収益は好調であっても失業者を減少させていない。企業は無駄を省くことによって競争力を高めたが、省かれた無駄とは実は労働者である。ところで、自分は幸せであると回答した人の割合が世界で最も高いデンマークは手厚い社会保障と市場メカニズムの効率を上手く両立させることで高いパフォーマンスを実現させている。高福祉だからこそ自由経済を実現している。日本はデンマークから目指す政策、そして政策を実行するための戦略と新しい社会のしくみを模索していくべきである。終章では政策断行のため、まず乗り越えなければならない官僚機構改革について述べている。自分たちのやりたいことに対する凄まじい実行力と執着心にはただただ震えあがるばかりである。大政翼賛体制で各メディアをプロパガンダ機関化し、都合の悪い言論者や政治家に対しては封殺・静粛することさえ辞さない。何があっても自分たちの無謬性を信じ、障害を排除する。レクチャー、リーク、サボタージュといったやり口で大臣まで自分たちの意向に沿った方向性でしか仕事をさせない。データを独占し、メディアを掌握し、国会の立法権すら骨抜きにして自らの思惑のままに政策を決定していく官僚。著者は、人事権の掌握、特別会計の解消と、官僚機構改革のための2つのポイントをあげている。残念ながら、民主党はいずれも全くできなかった。はたしてこの国はこれからどうなっていくのであろう。

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2012年07月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分にとってのバイブルである「戦略策定概論/組織設計概論」の筆者である波頭亮氏の最新作。

「成長論」から「分配論」へ、というサブタイトルに惹かれ、購入。

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「自力で生活できない人を国が助けてあげる必要はない」と思う人の比率が日本は世界一高く38%。2位のアメリカは28%。その他の国で10%を超える国はない。
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考えさせられるアンケート。Can'tとDon'tを混同しているのか…

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2011年01月30日

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