あらすじ
年下に片思いする文系女子、不倫に悩む美容マニア、元彼の披露宴スピーチを頼まれる化粧品会社勤務のOL……。恋愛下手な彼女たちが訪れるのは、路地裏のセレクトショップ。不思議な魅力のオーナーと一緒に自分を変える運命の一着を探すうちに、誰もが強がりや諦めを捨て素直な気持ちと向き合っていく。「あなたといたい」と「ひとりで平気」をいったりきたりする女心を優しく励ましてくれる物語。ルミネの広告コピーから生まれた恋愛小説。
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新しい服を着てみたら、新しい自分に気づいた。そんな経験をしたことはありますか?
恋愛にどこか不安や悩みを抱えた5人のアラサー女性が、自分のために作られたかのような運命の一着に出会うことで、前向きな一歩を踏み出していくというオムニバス形式の作品。
作者がルミネの広告を長年担当しているコピーライターの方というだけあり、一文一文に込められた意味や言葉のセンスに引き込まれます。例えば、「可愛くなりたいって思うのは、ひとりぼっちじゃないってこと」という作中のお話のタイトル。このお話の主人公が恋する相手は、九つ年下の会社の後輩。恋が実る可能性は限りなく低いと分かっていながら、この文章から切なさや辛さは伝わってきません。むしろ恋することで、心が満たされていく嬉しさや楽しさを感じます。
試着室で新しい服を着てみることをきっかけに、自分を違った角度から見てみると、とても幸福な側面があったことに気づく。そんなふうに日常の見方を変えさせ、前向きな気持ちにしてくれる一冊です。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
〜1周目〜
2022.04.05
共感できることが多くあって、あっという間に読み切ってしまった。
言葉の選び方や、全ての主人公の考え方に思いやりがあってよかった。
Posted by ブクログ
✶印象に残った言葉↓
「愛するものを探すのは、女の方がうまい」
「あなたといたい、とひとりで平気、をいったりきたり」
「人と比べておしゃべりが上手じゃないとか、社交的じゃないなんて、そんなの言い訳だ。向き合おうとしているかどうか。まずはそこなんだ。」
「ありふれた春だけど、冬をのりこえた春だもん」
「『他にもっといい人がいるよ』とも言った。それもわたしにはわからない。いるかもしれないし、いないかもしれない。自分にとっての『いい人』は、自分で決めるしかないのだから。」
「ちゃんと欲しがる女ほど、欲しがられる女になる」
「夜のお堀に、月の光が滲んでいた。見上げると、消え入りそうな細い三日月だった。『ニュームーン』チヒロはぼつりと口にしてみた。『クロワッサン』フランス語だと、三日月はクロワッサンになる。日本語では、『欠けた月』を意味する三日月。英語では、『新しい月』。フランス語だと『成長する月』になる。同じ月でも、ずいぶん言い方が違うものだ。今夜のこの三日月を、見上げる人の気分がそれぞれ違うように。」
「実らなかった恋にも、ちゃんと実ができている」
「あしたの服を悩むのは、あしたを夢みるからなんだ」
Posted by ブクログ
モヤモヤ抱えてても結局あの人のことが好き。どんな形であれ、あの人のことを思って自分を美しく見せようという気持ちこそ自体が純愛なんだと思う。
Posted by ブクログ
読み終えて、大人も悪くないなと素直に思った。学生の頃は、自分と似た人(年齢や環境が近い人)を好きになることが多いかもしれない。しかし大人になれば、年齢も価値観も職業も、何もかも違う人と出会い、恋をする。
「実らなかった恋にも、ちゃんと実ができている。」
この言葉、胸に刻みたいです
Posted by ブクログ
恋に悩む女性たちが、あるセレクトショップで選んだり勧められた服によって、新しい自分を発見したり、好きな人や恋人との関係を見直したりする話。
もっと、ヒリヒリするような恋愛小説かと思っていたのだが、意外に読みやすく安心して読める作風だった。
身につけるものって気分を上げたり、なりたい自分に形から入ったりできるので、悩んでいる人には、即効性があるかも。値段は書いてなかったけど、あのお店は私が買わない価格帯だろうな〜。
それぞれのお話の主人公が、恋を諦めるのか、改めて向き合うのか、どっちに転ぶか見当がつかないものだと思った。
タイトルは元々ルミネの広告コピーだそうで、各短編のタイトルもぐっとくる。
ルミネの広告コピーも気になる。