あらすじ
過去と向きあい、現在を俯瞰する。9.11後、世界は本当に変わったのか? 戦後の混乱期に渡米し、ハーバードで長年教鞭をとってきた歴史家は現代をどう見ているか。初めて明かされる研究者修行時代、そして思考遍歴。渾身の書き下ろし! (講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
自国の手垢に染まった歴史観から抜け出す、という主張は恐れ入った。これは大学で何故それまで習ってきた内容に触れるような内容があるのか、という疑問にそのまま答えるものだと思う。さらに、だからこそ学問の自由が保証されていなければならないのだな、と感じた。
Posted by ブクログ
本書で、1970年代以降、世界は国家という枠組みだけで捉えることはできなくなった、と述べている。
多くの人が、冷戦の終焉による多極化、911による見えない敵との戦いにより、世界の形は大きく変わったと述べるが、それに注目しすぎている点も否めない。
1970年代に世界はインターナショナル・リレーションズではなくトランスナショナル・リレーションズへと変貌していったからだと入江さんは述べている。
では、なぜ1970年代に入って世界はグローバル化してきたのか自分で調べてみたい。
また、文明の多様性と歴史認識の共有。この2つは、グローバル化が進む中で世界の課題になるだろう。
Posted by ブクログ
本年2026年1月に逝去された、ハーバード大学名誉教授だった入江昭氏の2005年の著作。
歴史を学ぶことになった筆者の半生を振り返り、あわせて歴史を学ぶこと・歴史とは何か・筆者の関心ごと等が語られる歴史エッセイ。
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うちの大学にも史学科というものがあったし、サークルの仲間でも史学科に籍を置くやつも居ました。ただ、歴史を学ぶっていうのはよく意味が分かりませんでした。
私にとっては歴史を勉強するっていうのは山川の黒字を暗記することとほぼイコールで、これを大学で学ぶ意義っていうのはなにか、と感じていました。
そのあたりの疑問は本書を読むと結構分かります。
私の理解したところだと、事実・史実であるけれど明るみに出ていないものをあぶりだす作業、みたいなものに感じました。
もはやうろ覚えなのですが、筆者の研究の一つに、米国での在米日本人への敵対感情の変遷みたいなものがあったやに思います。おそらくその変遷や契機があるのです。ただ一般認識はされていない。きっとその契機は、報道だったり歴史的事象だったり、あるいは政治的な恣意があり、そうした契機をあぶりだすことに研究の意義があるのだと思います。
違う表現をすれば、結果だけが明らかな事象にたいして「なぜそうなってしまったのか」を歴史的傍証を繙きつつ考証するのも歴史学の一つだとは思います。
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あともう一つ興味深かったのは、「歴史的事実は一つであるが、歴史認識は複数ありうる」という発言もどこかにありました(相変わらず適当でスミマセン)。
もちろんこれは日本・韓国・中国あたりの過去事象への理解の違いを言うわけですが、それに対しては、学究の徒が国境・国籍を超えて真実を共に見つける過程が大切だと述べていらっしゃいました。
他方で、歴史認識については政治、文化等が大いに影響を与えるという話もありました。
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そして、こうした歴史というのはその大半が政治の結果でありますから、歴史を学ぶことは、すなわち政治の話に畢竟たどり着きます。
また今や政治は一国で済む話ではないので、国を跨いだ政治の話につながることになりますね。
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ということで入江氏の歴史エッセイでした。
参考文献なども出ており、非常に興味深く読みました。
戦後間もないころに苦学しつつ旧敵性国で成功した留学話も面白かったですし、氏の歴史や政治についての興味も楽しく読むことができました。
本格的な著書も機会があれば読んでみたいですね。