あらすじ
2013年7月に百一歳を迎える、私立灘校の学力日本一の基礎を作った伝説の国語教師が、学ぶ楽しさ、生きる喜びを伝える本である。著者が50年間教鞭をとっていた灘校は、橋本式の独特な国語の授業を受けた生徒たちが、昭和43年に初めて東大合格者数1位となり、全国的に注目された。その折には、マスコミ等から様々な誤解を受け、詰め込み教育をしているなどの根拠のない噂が流れ、哀しい思いもしたが、生徒たちには楽しい勉強法を工夫し続けた。大学入試という難関を潜り抜けるには、学問の基礎力が必要である。その基礎は国語力を身につけることで初めて可能となる。国語は簡単に成果が出る教科ではないが、受身ではなく能動的に取り組み体験を伴うことで好きになっていくと、いつのまにか基礎力が身に付き、人生を切り拓く大きな力となる。百歳を超えたからこそ見つけた「学問のすすめ」は生きる喜びを享受する「橋本流生き方のすすめ」の指南書である。
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Posted by ブクログ
「学ぶ」とは何かを改めて再考させてくれる一冊でした。
「記憶に残らない授業は社会に出てから役に立たない。授業をしても意味がない」
いままで、いかに多くの、記憶に残らない授業を受け身で受けてきたのか。
とかく、いろいろなことを急ぎ、どこか受け身のことが左から右へと流れていく日々。
同時に「ゆっくり味わい調べ尽くす」という、見失いがちな考え方に気づかされた。「急いで読み進めても読んだ人の心には何も残りません」
「受け身で臨んだ授業の内容はほとんど忘れてしまいます、自分が能動的に取り組み、仲間とともに学び・刺激を受けたことはいつまでも覚えています」
いままで、いかに記憶に残らない仕事を受け身でこなしてきたのか。
自分の生き方、仕事への姿勢という意味でも刺激になった。
簡単に得られるものは簡単に失うのだということが、知識吸収の場でもおきるということを再認識した。
個人的には以下のフレーズも印象深い。
「受験勉強こそ、孤独の中でライバルと闘うのではなく
みんなで助け合って突破するものなのです。」
自ら能動的に動き、周囲との協力関係の中で乗り越えにいき、横道も最大限楽しんでいくとがで来たら… 10年、30年、50年先も人生いろいろな楽しみ方があるのかもしれないと、暖かい気持ちになりました。
Posted by ブクログ
名門灘校の学力日本一の基礎を作った伝説の国語教師が、学ぶ楽しさを伝える一冊。著者が50年間教鞭をとっていた灘校は、著者の独特な国語の授業を受けた生徒たちが、昭和43年に初めて東大合格者数1位となり、全国的に注目された。
記憶に残らない授業、社会に出てから役に立たない授業をしても意味がない。卒業してからも生徒の心に刻まれ人生を支えてくれる授業をするために「銀の匙」を教科書に選ぶ。
三年間かけてこの一冊の文庫本だけを徹底して味わい尽くす授業。
「スロー・リーディング」
ゆっくりと味わい尽くし、調べ尽くす。そうやって読書が自分の体験になると一生の財産になるというわけ。
楽しいことは忘れない。「銀の匙」の主人公と体験を共有するため、凧もあげれば、お菓子も食べる。受け身で臨む授業はほとんど忘れてしまうが、自分が能動的に取り組んだことはいつまでも覚えている。
多読、速読ばかりをよしとしていた自分にはもう一度、本の読み方を考えさせられた。本を味わうという感覚、大切。