あらすじ
気がつけば、おれは石川五右衛門だった…。神出鬼没に時空を飛ぶ作家一家。読者を物語のブラックホールに突き落とし、ねじれた迷宮へと誘う表題作。被害者の遺族が死刑囚の刑を執行するという狂気の設定で、獄中で執筆し続けた囚人作家の断末魔を描く『天の一角』。長年の忍従に暴発した作家夫人の怒濤の糾弾を活写する法廷劇『妻の惑星』等、表現への熱い慟哭が刻まれた傑作7編。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
作者の破天荒かつ露悪趣味の作風が極めて目立つ作品集であった
第1作目の『九月の渇き』は読むも不快にさせる描写が多いながらもオチがアフターコロナを彷彿させ読み応えのある作品
『天の一角』では一転させて社会派というべき作品ではあるが、その内容はかなりブラック
現在のネット民における死刑肯定論者に一石を投じるような作品で現在読んでも色褪せない
後半の『妻の惑星』、『家族場面』は虚構と現実と私小説とごった混ぜにした様なカオスチックな内容となっており、そのストーリーの内容は何とも理解し難い話になっているが、その異常な内容こそが魅力となっており理解しがたいながらも読み応えのあり奇妙な読書体験ができる作品となっている
筒井初心者はこの作品を最初に手にする事はまずないと思うが、現代社会にも通ずるような作品も多く意外と見過ごしがちな隠れた名作集ではないかと思う