あらすじ
けん玉が上手かったあいつとの別れ、誕生日に自腹で食べた高級寿司体験、本が“逃げ場”だった子供の頃のこと…朝日新聞の連載で話題になったエッセイのほか、「受賞の言葉」や書評も収録。書くことも読むことも痺れるほど好きな著者が贈る、しゅわっとはじける言葉たち!魅力全開の、初エッセイ集。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
小説の言葉って、何かを定義づけたり、説明するわけじゃない。もっと自由に感じていいんだよな、と思わせてくれる。ナオコーラさんの、初エッセイ集。白眉は「あるがままのドロップ」。飴を舐めているとき、私たちは「甘さ」(本質)を楽しんでいると思いがちだ。けれども小説家がしようとしているのは「飴の本質は『砂糖』だ!」ということの説明ではなく、飴の舌触りなり、かみ砕くときの音だったり、「飴そのもの」を楽しんでもらう、ということではないか。窮屈な言葉たちを、もっと解放しよう。
Posted by ブクログ
山崎ナオコーラ、初のエッセイ集。
「読んでもらえる興奮で、どんどん書いて書いて腕が唸りまくっていた」というエッセイには、二十代の彼女の思いがまっすぐに垣間みれる。
彼女は、高校生のときに感じた「私は世界と繋がっていない」という感覚を、これからも大切に持っていきたいという。
「カップルたちに囲まれて、ひとりでたたずむことは意外と楽しい。部屋にいるときよりも、ひとりを実感できるからだ」という文章には、感覚に対する鋭い嗅覚がある。
世界と繋がらない、他人と共有しない、個人的なリアル。
そういった感覚を「文章を解き放つ」ように綴ったら、とても芸術的で魅力的になるに違いない。
今後の作品を心密かに期待している。