あらすじ
インパルス・板倉俊之の大ヒット小説を迫力のビジュアルで完全コミック化! 既刊本に描かれていたトリガーも再登場し、シリーズ完結巻は衝撃と感動の結末!! 『沢田隆則編』――コミックス第4巻のラストで、千葉県のトリガーである吉岡になりかわった沢田隆則が、「トリガー」という権力を使い、私利私欲のままに凶悪な行為を繰り返す…。そんな中、国王は思慮の上、最後の手段をとろうとするが…。 『村川哲男編』――平凡な暮らしをしていた村川哲男だったが、ある日、息子が東京都の「トリガー」に殺され、人生が大きく変わる。家族、生きがい…すべてを失った村川はある決意をする。それは東京都の「トリガー」に応募することだった。見事、東京都の「トリガー」に任命された村川は、新年を迎え正式に「トリガー」になると、息子の仇をとるため家を出る…。そして、最終話では、このトリガーという作品の強烈なテーマが描かれる。それはまさに衝撃と感動の結末!
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Posted by ブクログ
見事に、私の心臓をブチ貫いてくれた、イイ青年漫画
銃口がギラリと光る重厚な漫画、文句なしで殿堂入りである
精悍さの中にどこか爽快感すらも感じさせてくれる武村先生の絵柄も凄まじいが、やはり、〔射殺許可法〕と言う斬新な設定を活かし、なおかつ、振り回されていない、板倉先生の練ったストーリーが、私の中の殿堂入りになった理由だ
お笑い芸人は、コントで一般人を笑わせてこそですが、それでも、板倉俊之さんや劇団ひとりさん、又吉直樹さんのように文芸の分野で才能を発揮する方は、素直に凄いなぁ、と思う。尊敬っつーより、憧れに近い念も抱ける
ホント、板倉先生の、このダークだけど皮肉な救済感もある話を、ここまで見事に魅力を引きだし、同時に漫画独自の味を付けられたのは、武村先生だけだったろう。ベストコンビ、そう言いきれる
正義が存在する意味、何を以て悪が決まるのか、人に人を裁く権利が果たしてあるのか、人間の本質とは何か、様々な事を考えさせられる内容だったな、そう、読み終わった後、しみじみと思える
確かに、内容は過激だ。出血シーンは多いわ、銃の描写が異様にリアルだわ、一般人も犯罪者もわんさか殺されるわ、と血腥いのが苦手な読み手にはキツいだろう。けれど、私はあえて、この『トリガー』を学生に読ませて、議論をさせてみたい
犯罪者だから問答無用で殺していい訳じゃない、けど、大事な家族や友人の命を面白半分で奪われた怒りや恨み、黒い感情は、ゲスが生きている限り、きっと、晴れないんだろう。恐らく、自分の手で相手の命を奪っても、憎悪は霧散なんかしないだろうし、逆に後悔も湧き上がるだろう。それでも、遺族が止められた場所から動けるなら、敵討ちもアリなんじゃないかな、と私はこの『トリガー』を読む前から思っている。その考えは読んだ後でも変わっていないし、「正しいんだ」と自信も持てていない。傍目から見ても、真っ当な理由があろうが、他人が「間違っていない」と正義を認めてくれても、結局、人殺しは人殺しだからだ。もし、仮に私の家族が殺されても、私は犯人を殺さない・・・・・・殺さないが、五体満足で生かしておきたくもないな、ジワジワと苦しめたい、とも思ってしまう
犯罪者を殺すのは、正義の行いか、それとも、悪の行為か、どんなに議論を重ねても正解は出ないだろうが、まともな手段で今現在、犯罪数が減らない以上、多少、荒っぽい方法を用いる必要もあるんじゃないか
この台詞を引用に選んだのは、このまま進めば死しか待っていない、それが判っていても、自分の信念を曲げない、覚悟を抱いて最期の仕事に臨む、国のトップに相応しい男の強さをそこに見たから。さすがに、ここまでのモノを現実の政治家に求めるつもりはないが、失態を犯したなら、現場から退く潔さを、最後の大仕事として、国民に見せて欲しいよな、とも思う