あらすじ
人に影響力を与える要素は心理学の6つの原理、「返報性」、「一貫性」、「社会的証明」、「好意」、「権威」、「希少性」に分類できる。説得のプロたちはどのようにこれらの原理を利用し、消費者から「イエス」を引き出すのかを実験結果を用いて解説します。
長年、たくみな営業マンの被害者だった心理学者の筆者が、承諾誘導のプロの世界にみずから飛び込み彼らのテクニックを観察した結果、それらの多くは心理学の原理に基づく6つのカテゴリー――「恩義」、「整合性」、「社会な的証明」、「好意」、「権威」、「希少性」――に分類できることに気がついた。
説得のプロたちはどのようにこれらの原理を利用し、消費者から「イエス」の言葉を引き出すのだろうか? わかり易いエピソードや多くの実験例からその仕組みを解き明かします。
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Posted by ブクログ
チャルディーニの翻訳の4冊目であるが、これが最も読まれやすいと思う。さらに写真やイラストも掲載されている。アロンソンのソーシャルアニマルの翻訳が古くなってしまった現在、教科書に使えるいい社会心理の本がなくなってしまったが、これは使えると思う。また、卒論のテーマを考えるときにアイディアが浮かぶ本である。残念なことに、索引がないのでどの論文からの出典かはネットで調べなければならないが。
Posted by ブクログ
近年、私たちの周りの情報は、恐ろしいばかりの勢いで増え続けている。そして、物を購入する場合などには、種々の情報に基づいて的確な判断をすることが求められる。そんなとき、役立つのが、恩義、整合性、社会的な証拠、好意、権威、希少性の6つのルールである。これらは人間が生きていく上で、自然に取り入れたものだ。つまり、無駄な思考を必要とすることなく、的確な判断をすることが出来るのだ。しかし、世の中には、逆にこれらを利用して私たちの判断を惑わすものが無数にある。どうでもいいようなプレゼントをされ続けた挙句、保険に加入してしまったという経験はないだろうか? 自分の意思に反した行動を取らないためにも、この本を読んで、十分に対策しておくにに越したことはない。でも、あの手この手で騙されてしまうんだよなー。
Posted by ブクログ
人間が物事を判断するときに影響されうる大きな要因を心理学からわかりやすく解説する。
恩義、整合性、社会的な証拠、好意、権威、希少性、これらの6つの状態を人は手早く判断することで時間を使って考え込まなくていいようになっている。行動経済学でいうヒューリスティックスなのだが、その単語はここでは出てこない。
これらを悪用したパターン。
恩義:まずプレゼントを渡してから要求する。無理なお願いをして、それを譲歩する形で貸しを作る。
整合性:言わせてからやると言わないでやるよりも有限実行しようとする。
社会的な証拠:他の人を見てからやる。チップの瓶に先に金を入れておく。TVの無駄な笑い声。
好意:友達の紹介という前振りで押し売り、タッパーウェアパーティー。
権威:ミルグラムの権威者に言われたから電気ショックを与え続ける被験者。ファシズム。
希少性:タイムセール。行列。
Posted by ブクログ
人は考えずに利得を得たいと願うという前提、そしてそこに付け込むルールは6種類。具体例には詐欺の話が多いが、アラブの春などの社会的事例、会社の目標設定等々、さまざまなところで愚民を動かす原理が働いている。社会学理解の一助になった。
Posted by ブクログ
革新的な指摘は殆どなかったと思いますが、当たり前と思っていることが丁寧に解説されていたので、かえって「なるほど」と思う箇所が多かったように感じます。
人に影響力を及ぼす場合に鍵となるポイントを、6つに分けて紹介されていました。
そのどれもが、判断を機械的に下すことで、省力化や時間短縮(自然界では瞬発力が生死を分ける場合もある)を図るという意味で、本来は有意義に機能していたもので、それを逆手に取って悪用する人たちに対抗するという目的を持って書かれているようでした。
6つのポイント――なにが人の意思決定に影響を与えるか
恩義(試食や試供品、賄賂)
整合性(振り上げた拳、約束、表明した意思)
社会的な証拠(多数意見、前の人に倣う、サクラ)
好意(友人知人からの紹介、お世辞)
権威(肩書、制服、お墨付き)
希少性(期間限定、数量限定、ロミオとジュリエット)