【感想・ネタバレ】ひまわりの森のレビュー

あらすじ

見知らぬ少年を我が子と思いこみ、恐ろしい事件を引き起こした母親の心を蝕んでいたのは、戦争中の凄惨な経験だった……。心に深い傷を負って苦悩する母親と、彼女を抱えて懸命に生きる家族の姿を哀感をこめて描き、人気作家が新境地に挑んだ愛と祈りの感動作。/掲出の書影は底本のものです

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦争を経験して心を傷つけられた女性(母親)を軸に、主人公である娘が振り回される話だった。主人公が自分で動いているように見えて、実は母親に振り回されてる。

ただ、これが『戦争による悲惨さ』なのか、『家族のしがらみ』なのかは分からなかった。


私はどちらかと言えば、『家族のしがらみ』のように見えた。
母親の経験は確かに『酷い』のだけれども、主人公の娘の視点から見るとそれは『呪い』にしか見えない。だから、『呪い』が解けて物語が終わる。

『呪い(幻影)』が溶けた後の『現実』がどれだけ残酷でも、呪いは解けてしまった。
母親は強い勇者でもなければ、か弱いお姫様でもない。下手をしたら魔女だったかもしれないという現実。

『勇者ではなくて人間だった』程度なら、子供の成長物語で微笑ましいけれど『魔女かもしれない』は結構衝撃的。
もちろん作中にそんな言葉(勇者や魔女)は出てきません。私的解釈です。



『家族のしがらみ』という風に読むと、エグイ。



ただ、表面は『戦争の悲惨さ』でコーティングしてある。
なので、「戦争中にこんな事があったんだ」という視点で見る事も出来る。



この本を読んでる途中で、とある記事のゲーム紹介でその名前を知った。

『レーベンスボルン』
ドイツの優生思想に基づく「アーリア人増殖のための収容所」……ドイツは選ばれた人種を集めて子供を作っていた。



この話自体はずいぶん前に聞いたことがあった。収容所の名前までは覚えてなかったけど。
ただ、イメージとしては『了承した人達(妊娠したい人)を集めた場所』だと思っていた。

「ひまわりの森」では、『強制的に』人が集められ強姦され子供を作らされたという事が書かれている。ラーフェンスブリュックという収容所の名前も出てくるけれど、ここでの事はあまり書かれていなかった。

調べると女性の収容所だったらしい。(一部男性もいたとなってた)



他にも色んな地名・国名が出てくるので、それらを調べてみるのもいいのかもしれない。
地図があれば判りやすいのになと思ってしまった。地名だけでは……それ、どこ?である。
カンザスとかテキサスとかノルウェーのウェールズとか…聞いたことあるような気がするけど、地図として頭には入っていない。

ついでに言えば、主人公は『アメリカ』に住んでいる事になっているけれど、戦争の話はヨーロッパの辺りをあちこち移動する。
…どこまでがアメリカでどこからがヨーロッパの話かが分からない。地図が描けない。全て異国の話だと切り捨てるしかない状況。
さらに言語が複数出てくる。英語はもちろんドイツ語フランス語ノルウェー語。……語学堪能すぎると思ってしまう。
が、それらが、どこで使われている言語なのか。ノルウェーに行って使ってる言葉は何なのか謎だ。
主人公はノルウェー語は未熟となってたのに、なぜか意思疎通が出来てる。つたない言葉で何とか伝えてるんだろうか?


日本語しかできない身としては、複数言語習得してる主人公が空の上の存在だ。


そんな感じで『家族のしがらみ』を除けば、知的好奇心を刺激してくれる作品だったと思った。

0
2023年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ノンフィクション作家であるトリイ・ヘイデンの書いた小説は、さすが!というべきな心理描写と登場人物たちの細かな所作にたまらなくリアリティがあった。
怖いくらい、その場面、場面が思い描かれていた。
それは、日常の家族の風景だったり、とんでもない狂気の被ったあの時代だったり…。

母・父・妹、そして主人公である17歳の少女。
物語の最後に父が語った言葉に、作者が伝えたかったすべての想いが書かれていると、そう思いました。

0
2011年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

母親は子供に接しているとき、『自分の魂がまだ美しいのだ』という苦しい嘘をつくことで子供を守っている。
しかし子供が成長しその嘘に気づいたとき、大きな絶望を与える。
これほどの題材でなくても、母と娘というものはこのような経過を辿っているのだろうか。

0
2012年08月06日

「小説」ランキング