あらすじ
壮絶な憎悪や執着を支えに生きる人々がいる。彼らとのコミュニケーションには大きな摩擦や混乱をきたしやすい。彼らの精神構造を分解してみると……。
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Posted by ブクログ
「しつこさ」に目がいって通読。
著者の読みやすい文章にのっていってスラスラ読めた。
テーマは「恨み」。
いやいや、別に誰も恨んではございません。
ただ、「恨み」という感情は誰にだってある。
僕にもある。
この「恨み」との付き合い方が知りたくてね。
主に文学作品『恩讐の彼方に』などのテキストや実際に精神科医としてかかわった人たちとのエピソードから、「恨み」に関して分析。キーワードは「不条理」と「被害者意識」。つまり、不条理な事柄に遭遇してしまった人は、芽吹いた「被害者意識」にせっせと肥やしとやって、やがて「復讐」へと感情を募らせていく。
この「復讐」。ドラマのように、いやドラマであっても、カタルシスを味わえるものではない。むしろ、虚無感に苛まされるだけ。では、どうすればいい??
著者は、「苦笑」を提唱する。そういう恨みに出遭いそうな出来事があった時は、「苦笑い」。もしくは、自分が尊敬する人を想像して、「この人ならばどう思うかな」と思い、きっと「受け止める」と思い、自分の気持ちを落ち着かせる、という薦め。もし、尊敬する人が「恨めー恨めー」としきりに言うのならどうする?「苦笑」した唇の上がり具合が半端ない時はどうする?と、解決策には??がつくが、総論としてはおもしろい。ただ、文章がスラスラとしていて、サスペンスのようなネタも入っているので、読みふけて精神の世界に迷い込まないように注意は必要。