あらすじ
ひたすら、淡々と、生きる、長春で。敗戦後、木川正介は、毎日五馬路に出掛ける。知り合いの朝鮮人の配下となり、大道ボロ屋を開業して生きのびている。飄々として掴みどころなく生きながら、強靭な怒りにささえられた庶民の反骨の心情は揺るがない。深い悲しみも恨みもすべて日常の底に沈めて、さりげなく悠然と生きる。想像を絶する圧倒的現実を形象化した木山文学の真骨頂。著者最後の傑作中篇小説。
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Posted by ブクログ
木山捷平の小説は色んな意味でしょうもない。
それは日常生活をリアルに感じさせるからだと思う。
日常生活は基本的にはしょうもない。
充実した日常生活を送っている人間はおそらく小説などまあ読まなくてもいいのだ。
だからしょうもない日常を過ごす自分にとってはしょうもない小説を読むことで平衡感覚を養わなければならないのだ。
短編が多い木山小説にしては珍しくこの作品は中編となっている。
満州でボロ屋(よく言えば古着屋)をやって生計を立てていた時代の私小説。
中編だからと言ってテイストが変わっているわけでもなく、淡々とし綴られている。
ただ最後まで読むと単にヤリ自慢したかっただけではなかろうかと感想を持った。
まあちょいちょいヤリ自慢めいたエピソードを挿める作家ではあるのだけど。