【感想・ネタバレ】記憶の果て(下)のレビュー

あらすじ

実際に存在した裕子は十七年前すでに自殺していると安藤に告げる母。父は自殺した娘の生まれ変わりとして、コンピューターにプログラムしたのではないか? 安藤は脳科学を扱う父の研究所や、裕子の本当の母親の元を訪ね回る。錯綜する人間関係が暴かれる衝撃的結末は、凡百のミステリーの常識を破壊する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ


読んでいて感情や自分がバラバラになっていくような壮絶な心の動きがあった。
多分、書き出しの時は文章に拙さを感じたけど、どんどん自分が没入していくような、そんな感覚で、なだれ込むようにラストまで読んでしまった。
読んでいる間、今までの辛かったことやおぞましい思い出などがあれこれと胸に浮かんでは消えていき、そして最後ふっと小説の最後の行の左の余白の中に溶けていってしまった。
登場人物を効果的に描写してやろうという意図を薄々感じながら読む瞬間はなく、力技とでも言うのかそんなものに絡め取られて、空が反転して地面に寝ていた、そんな疾走感があった。
セックスについて、自分の存在責任を誰かに押し付ける欺瞞、子どもを産むこと、人を愛すること、愛してはいけないのに愛すること、感情をあらわにすることについて、過去がすり替わることについて、思っていたことと世界が違ったときのこと。
諸々が文字の世界と共に頭の中を凄まじく走り去っていって、私はしばらく呆然とした。
この本に続きがあることを、感謝したし、感謝しなかった。このまま終わってしまって欲しかった、そう直樹が決めたのだとなんとなく思ったから、でも、この世界にはまだ左側にページがある、それは素直に嬉しい気もする。
どうして辛い思いをしたのにまた人間を信じるのか、不思議だと思ったけど、それが生きていくということなのかなと、直樹くんの人生を覗いて思った。
とりあえずすごい読書体験だった。
本を読むと連れて行かれて帰って来られなくなりそうになるから、癖になる。読んでいる間にすっかり体が冷えている。快楽に弱い自分を自覚しました。

0
2021年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリー。SF。青春。
最初から最後まで、ひたすら暗い。
1998年に発表されたものとは思えない。
とにかく好きです。
このシリーズ、文庫化したら全部集めると決めました。

0
2014年08月10日

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