あらすじ
貞淑で、古風で、武蔵野の精のようなやさしい魂を持った人妻道子と、ビルマから復員してきた従弟の勉との間に芽生えた悲劇的な愛。――欅や樫の樹の多い静かなたたずまいの武蔵野を舞台に、姦通・虚栄・欲望などをめぐる錯綜した心理模様を描く。スタンダールやラディゲなどに学んだフランス心理小説の手法を、日本の文学風土のなかで試みた、著者の初期代表作のひとつである。
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Posted by ブクログ
難しそうなんて思ってたんだけど、実際読んでみると結構おもしろくってスラスラ読めちゃったわぁ。
フランスの心理小説を手本に書かれてるらしいからかな~?
もしかして、私、こういう形態の小説好きだったりする?
ボヴァリー夫人のときも、結構面白かったのよね。
そういえば、話の内容も似てるかな?
こっちの場合は、同じ敷地内に住む親戚同士の不倫プラス従弟との愛。っつ~の?
で、結局、主人公の道子は早とちりしちゃって自殺。。。
うーーーん、似てる。
でもね、これも主要主人公たちの心情っていうのヒシヒシとよく伝わってきて、「わかる、わかる!」って感じ。
一番許せないのは、道子の旦那・秋山。
で、道子は結局、従弟の勉を愛してたけど、一線を越えなかったのよねぇ~。
なんだかとってもキレイな日本人らしい女性だわ~。
最後はちょっと馬鹿みたいだったけど。。。。
Posted by ブクログ
なんだか、うじうじした奴らがいっぱい出てくる小説です。
不倫がテーマと思わせつつも、実は近親相姦的な話。でも、プラトニックがウリです。みたいな。
プラトニックに徹しようとして失敗して死んじゃうくらいなら、行動したほうがいいんじゃないですか?と。
なんだか、フランス文学とかかじったぜ、みたいな雰囲気がどうも。
どうもすいませんw
Posted by ブクログ
東京の国分寺あたり。
武蔵野の情景を舞台として効果的に描いた作品。
つまらない夫と結婚したお嬢さまが、戦争から復員してきたちょっと年下のイトコくんと惹かれ合うんだけど、お嬢さまだから不倫はご法度!
チューだけであれこれ悩んでいるうちに、つまらない夫さんは隣の奥さんと浮気。
隣の奥さんは、お嬢さまのこれまた別のイトコの奥さんなのに、ティッシュだかコケティッシュだかで、男性経験が豊富。
お嬢さまとは対照的な女性として描かれています。
結局、お嬢さまはいろいろ悩んで自殺しちゃうんだけど、愛するイトコくんも隣の奥さんと関係を持っちゃうし、「時代」とはいえ、なんだかお嬢さまは浮かばれないようなお話。
それでも、自分で自分をほめてあげたい…と言える人生だったのかもね。
今の時代とは違った、清く厳しい、きっと表もあれば裏もあった時代をドロドロしないタッチで描いた作品です。
でも、あんまり読後感は良くないよ(苦笑)