あらすじ
優しい夫に白い猫──満ち足りた生活は、夫の溺死により突然、ピリオドが打たれる。それは新たなる絶望への幕開けにすぎなかった。小説推理新人賞受賞作「隣人」を含む戦慄のサスペンス短編集。予測のつかない結末6編
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Posted by ブクログ
どれも面白い。
不倫が多いが、邪魔者は消すのが一番とばかりみんなさっさと行動する。
一話目の隣人は
留守の時の宅配便受けとってあげたわ、ねえどうして日付指定したのかしら…
とねちっこいタイプ。
不倫相手の始末は妻に尻拭いさせる男、伴奏者。
若い女性ガラス工芸家にお熱の勘違い歴史教師、風の墓。
叔父叔母の洗足の家が火事になり実は叔母は世話をしてくれる叔父に対し黒い感情も持っていて、洗足の家。
わかりやすいイヤミス。
ちなみに出てくる人は富裕層ばかりですね。
昔ハマっていた作家さん、再読中。
Posted by ブクログ
サスペンス短編集。とっても読みやすいし面白い。
ネコ好きな妻が子供を欲しがる猫嫌いの旦那を事故に見立てて殺すけど隣人のおばちゃんに気づかれてしまう話と、
不倫相手を信じていたら裏切られて不倫相手の妻に殺されてしまうどうしようもない男の話と、
妻を殺して不倫相手と駆け落ち的なことをしようとしていた男が不倫相手に殺されてしまう話と、
仲良しな伯母と孫娘が、計画して近親相姦伯父を殺す話と、
自殺した母の不倫相手が実は当時15歳の中学生と知って絶望するマザコンのイケメンの話と、
妹に男を寝取られた姉が妹の子供を無理やり旅行につれて行って、どうするかと思いきや自分も別の男の子供を妊娠していて産む決意をするって話。
ひとつひとつの話がよく作り込まれていて、その後はどうなったんだろう…とあれこれ考えてしまう。
3話目の、不倫相手の芸術家の殺害理由がいまいちピンとコないのだけれど。人生の邪魔になったからって理由で簡単に人の頭石で叩いて殺すか?って感じ
でもほんと面白いです。何回読んでも面白い。
Posted by ブクログ
『隣人』
なにも殺さなくても……と思った。
離婚すればいいだけなのに。
『伴走者』
不倫相手に自分の夢を叶えてもらおうなんて
そりゃあ間違ってますよね。
最後はやりすぎな気もするけど、自業自得かな
『風の墓』
主人公が思うほど、相手の女性は好きじゃなかったんでしょうね、重荷になったと思われる。そこまで深くハマらなければよかったのに。
『洗足の家』
これも、ここまでするか……と思ってしまったけど、
時間がたった夫婦ほど、別れにくいものなのかな
『至福の時』
不気味さ漂う内容。
『雪模様』
関係性がややこしい。
主人公の妹が、主人公の不倫相手との間の子供を産んでしまった。
そして主人公は、その姪っ子を遠くに連れ出す……。
とここまではまあありそうだけど、その後の展開が意外だった。
不倫相手の男のやさしさに、腹が立つ
Posted by ブクログ
【あらすじ】
優しい夫に真っ白でふわふわな猫―美由紀の満ち足りた生活は、夫の溺死によりピリオドが打たれる。しかしそれは、新たなる絶望への幕開けに過ぎなかった。小説推理新人賞受賞作「隣人」を含む戦慄のサスペンス集。予測のつかない結末6篇!
【感想】
Posted by ブクログ
とりあえず一言で言うなら、「隣人」と「洗足の家」の旦那さんと婚約者が可哀想。二人とも主人公思いの優しくて良い人なのに。「伴走者」と「風の墓」の主人公は、自業自得なので全く同情できないが、この二人は本当に……。
そもそも「隣人」に関しては、旦那さんが亡くなってからじわじわと隣人に侵食されていくような展開が待ち受けているのだろうなと思っていたのに(あらすじにも“新たなる絶望への幕開け”と書かれているし)、すんなりあっさり終わってしまって拍子抜け。え?だってこれからじゃないの?という不完全燃焼感。
中途半端に短編にしないで、このお話はもっと細かく作り込んで長編にしてくれたら読み応えがあったのだろうな、と思う。お隣の三瀦さんの旦那さんの死も、なんだか裏がありそうな気がするし。
で、“隣人”というタイトルだけで色々想像してしまうほどホラー感があるのに、実際はそれほど怖くない。というか、全体的にサスペンス色は弱めな小説だった。
一つだけ気になったのは、この「隣人」の主人公は、旦那さんが死ぬことを分かっていたから、その後のお葬式やなんかで忙しいことを見越してキャットフードの配達日を遅くしたのか、可愛い可愛いと言いつつ本当は猫のことも死なせようとしていたのか。
文章を読むだけでは前者のように感じるが、ではなぜキャットフードがなくなりかけているのにもっと早く頼まないのか、ということを考えると、後者のような気がしないでもない。だとしたらこの主人公、めちゃくちゃ怖い。本心が読めない。一瞬ゾッとした。
お気に入りは「風の墓」。文章の隙間にはめ込まれた、ガラスのプレートや湖の表現が美しかった。最後の展開は読めたけれど。うん、確かにこれは……重荷だろうな、彼女にとっては。
「至福の時」は、普通に気持ち悪い。不倫ってだけでも受け付けないのに、一回り離れているとか、一方は子供もいる母親で、一方は中学生とか。ないわ。無理だわ。本人たちが幸せだろうがなんだろうが、気持ち悪いものは気持ち悪い。
なんていうか、この小説に一貫して言えることだけど、さっさと離婚すればいいのに。離婚すれば問題ない話ばっかりなんだよなぁ。
「雪模様」の主人公も被害者ぶっているけれど、本当の被害者は奥さんだし、賢い女性を装っているけれど、同じことを繰り返して学ばない人だな、という印象。ただ、特別イラつく女性というわけでもなく、感情移入ができずにサラサラと目の前を流れていくような、人生においてインパクトの残らない、そういう愛され方をしようとしない人物だなぁと思った。