あらすじ
セックス、ギャンブル、アルコール、オンラインゲーム--人間はなぜ、これらをやめることができないのか。それは中脳から放出される“脳内麻薬”ドーパミンが「快感」を司る脳の各部位を巧みに刺激しているからである。コカインや覚醒剤はこの脳内回路「報酬系」を誤動作させて過剰な快楽を与え、依存症を招くものだ。だがこのドーパミンは他人に褒められたり、難易度の高い目標を達成するなど、「真っ当な喜び」を感じる時にも大量に放出されている。なぜ人間の脳はこんなしくみになっているのか。話題の美人脳科学者が人体の深遠なる謎に迫る。
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Posted by ブクログ
人間を支配する快楽物質ドーパミンについて、理解が深まった。印象に残ったのは、
①快楽とは、ヒトの脳が用意した「頑張っている自分へのご褒美」
②脳が快楽を感じる物質はドーパミン
③脳は6つの部分に分けられる。運動やバランスを司る小脳。脳の中央部から下部にかけては「脳幹」と呼ばれ、間脳・中脳・橋・延髄の4つの部分からなる。体の状態を保ってくれる自動制御装置。意識や感覚は、脳の中で最大の部分である大脳で生じる。大脳でもっとも高度な働きをしているのが前頭連合野。
④ドーパミンは前頭前野を興奮させ、意欲的にさせる物質⑤重要なことは、依存症は決して心の弱さといったものが原因ではなく、脳内の物質の異常から来る病気
⑤神経の先には分泌した伝達物質を再び回収する「掃除機」のようなしくみ(トランスポーター)がある。コカインはこの掃除機の働きを妨害する。つまりコカインを体に入れると、ドーパミンが分泌されっぱなしになり、脳は興奮しっぱなしになってしまう。
Posted by ブクログ
何かを成し遂げ、社会的に評価されて喜びを感じるとき、友人や家族や恋人から感謝やお祝いの言葉を聞いて幸福感に包まれるとき、私たちの脳の中では、快楽をもたらす物質「ドーパミン」が大量に分泌されています。
だとしたら、習慣にしたいことを行ったとき、ドーパミンがでるように工夫することによって、幸福感に包まれたいために、その行動を繰り返すように、自分自身を仕向けることができるのではないか?という、しょうもないことを考えて、この本を手に取った。さて、私は、自分自身の脳を操作して、に報酬を与えることができるのか?
「人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体」というサブタイトルや、美しい中野信子博士が、あなたは「気持ち良さ」について何も知らない。と呟いているように見える帯のデザインから、編集者の悪意?を感じないでもなかったが、まんまとその罠?に嵌ってあげました。しかし、内容は、まったくもって真面目で、脳内回路、薬物依存、依存症、社会的報酬という順序で、脳内物質だけではなく、脳に影響を与える薬物が発見され、それが依存症をもたらすことだけではなく、それが国家を脅かした歴史についても言及されている。地味だが良書。
最近、電車やバスに乗っていると、スマフォやタブレットでオンラインゲームの興じる人を見かけることが多くなった。中野先生は「実はゲームは、巧妙に報酬系を刺激し、ドーパミンを分泌させるように設計されているのです。」と書かれている。私も17年ぐらい前、RPGに嵌り、寝る間を惜しんで没頭していたが、ゲームに投入した推定1000時間は、本当にもったいなかったと思う。時間を生産性のあることに費やすことだけが幸せに繋がるとは思わないが、ゲームに嵌っている人が、その時間を経済活動に投じれば、世の中が変わると思う。
私は、自分にとって良い習慣を身につけるために、脳内麻薬のことを知りたいと思ったのだが、前述のように、私たちが、自分の時間を浪費したり、健康を損なうようなことを止められないのも、脳内麻薬の作用によるものなのだ。RPGに嵌っていたときの私は、カナダのマギル大学でジェイムズ・オールズとピーター・ミルナー という2人の研究者が実験で使っていたラットのように、空腹でも食べ物に目もくれず、レバーを押し続けていたのだ。
他人に褒められたときに反応する脳の部位と、金銭をもらったときに反応する部位は、まったく同じ部分(線条体)であることがわかりました。つまり「社会的報酬」とは言葉の上の遊びではなく、脳にとってはまさしく「報酬」そのものであることを示しています。≫ 私は「他人に褒められたい」人でした。今は、いくらか鎮静化しているかもしれませんが、こうしてコメントを投稿しているのも、誰かから「良いところに気がついたね」と褒めてもらいたいからだと思います。まあ、依存症といえるほど重篤ではないので、脳がおもむくままに…
お金をかけて幸福度・満足度を上げようとすると限界がないので、いつまでたっても幸福度・満足度は満たされないかもしれない。時間をかけないってのは、難しいだろうが、ゲームの依存性を模倣して、簡単に達成感を得られることから徐々に難易度を上げて行くような課題に取り組むのが良いかもしれまない。可能ならば、気の合う仲間たちを集めて、お互いに褒め合いながら実行すれば、成果もついてくるので、一石二鳥を得られる可能性がある。
Posted by ブクログ
向精神薬の副作用とは、意図しなかった場所での神経伝達物質の増減ですから、その症状は何らかの精神病と類似していることが多いのです。
統合失調症の治療のためにドーパミンの効果を抑える薬を投与すると、ドーパミンの不足によって起こるパーキンソン病の症状が現れるのもその例です。
p.86より
以前、向精神薬を服用する中でパーキンソン病の症状が出現した経験があった。
こういう理由だったのかと理解できた。