あらすじ
日本国内の議論を二分するTPP。現在、先行する参加国間で深刻な対立を招いている分野の代表格が、著作権・特許などの知的財産だということはあまり知られていない。流出した米国政府のTPP知財文書には何が書かれているのか? その「真の狙い」とは? 「新たな立法者=国際プラットフォーム」などの動向も踏まえながら、情報社会における最適なルールメイクのあり方を第一人者が考える。〈TPP知財リーク文書抄訳を公開〉
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Posted by ブクログ
SOPA、ACTA、そしてTPPと著作権をめぐる法律や条約についての議論がたえません。本書は、それについて生じた議論やユーザー・企業らによる反応を整理したうえで、それらの法律・条約に盛られている条項が、「誰に」「どのような」メリット・デメリットをもたらすのかを、わかりやすく説明されていると思います。
この本の主張は、第3章第6節のタイトルにあるように、著作権の正解は創作モデル・収益モデルによって変わってくるということ、だからこそそのルールをつくるのが誰であるべきなのかを考えていかなければならないということだと思います。
著作権の議論はどうしても、それぞれの立場の人々が、それぞれの立場の利益だけを守るための意見の言い合いになりがちですが、筆者である福井さんがおっしゃるように、「文化」の側に立ち、文化がもっとも多様で豊かになるために、どのようなルールが必要なのか、を考えていかなくてはならないのでしょうね。